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戦慄のイクタベーレ ~敗退せし者達の母国奪還の軌跡~  作者: ユウキ
第三部 第八章 憎しみと理想
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第八話 ユアンとリオン

恐らくですが、私の作品全部にブクマしてくだってる方がいますよね?

完結したのも含めて

同時にブクマ数が増えたので、そう思いました

大変励みになりました

ありがとうございます

「あれ?ユアンは何処に行ったの?」


 セイラが休むテントから出てきたディーネが外にいた者に聞いていた。


「知らね……ないです」


 イスカが丁寧に応えようとしてる。


「先程、シャルス城に向かうと出て行かれましたよ」


 ユーリが続く。


「えっ!?さっき手伝ってくれるって言ったから水組みでも頼もうと思ったのに!もー何やってんのよっ!!」


 ディーネがいつものごとくツンケンし出した。


「水組み?そんなの俺様がやりますよ」


 イスカが申し出る。


「あらそ、じゃ頼むね」

「了解です」

「私も何か手伝いますよディーネ様」


 ユーリも名乗りでた。


「じゃあ何かあればお願いね」


 そう言うと再びテントに入っていった。








 ・・・・・・・・・・・・


 速くっ!速くっ!行かなくては……。

 リオンが……リオンが……。

 地を駆ける馬は、疾風のように走り抜ける。

 森の木々を巧みに躱し駆ける。彼女は無我夢中に馬を走らせた。








 ―――――



 カンカンカーン!


 男が持つ通常の剣と女が持つ大きな剣がぶつかり合う。


 カァァーンっ!!


 大きな剣が弾き飛ばされた。


「まだまだだなユアン」

「でも直ぐにリオンに追い付くから」

「俺達は親譲りなのか、常人より力がある。この力をより良きモノ使おうな」

「ええ…でもその前にリオンを負かすからね」

「ははは……望むところだ」



 ―――――



 カンカンカーン!


「くっ!」


 カァァァーンっ!!


 遂に大きな剣は、通常の剣を弾き飛ばした。


「腕をあげたなユアン」

「ふふ…リオンのお陰よ」

「じゃあ次はコイツだ」


 男は斧を持ち出した。


「えっ!?」


 ギィィーンっ!!


 大きな剣があっさり弾け飛ぶ。


「たたた…手が痺れた」

「ははは……ユアンにはまだ早かったかな?」



 ―――――



「俺は親父がいたシャルスの騎士団に入団する」

「えっ!?」

「お前は十分強くなった……もう俺は必要ないだろ?」

「でも、斧を扱うリオンには、まだ敵わないわ」

「だが、既に常人の域を越える程に強くなった。その力、より良きモノへ使え」


 女はしばらく逡巡した。

 そして……。


「……わかったわ。じゃあ私は、ユグドラシルの騎士団に入団する」


 と決心を口にした。


「ユグドラシルかぁ……また大きくでたな。じゃあ、お互い騎士団でもっと腕を磨き、また剣を交えよう……っと言っても俺は斧だがな。ははは……」



 ―――――



「久しぶりだなユアン!元気だったか?」

「ええ…リオンも元気そうね」

「ああ……」

「じゃあ……」


 自分の獲物を手に構えた。

 私達は再会の度に打ち合いをして、お互いを高め合った。


 ギィィーンっ!!


 女の大きな剣が吹き飛ぶ。


「くっ!また負けた」

「でも、めきめき腕を上げて行くなユアン!次は勝てないかもな」

「前回も同じ事言ってなかった?」

「そうだったけ?ははは……」



 数年後、大きな戦争が勃発。天空王国マルストとグルノニア騎馬王国が真っ先に暗黒魔王軍の軍門にくだる。

 三国同盟によるバルマーラ帝国樹立。その後、シャルスが加わり、イクタベーレ地方全土がバルマーラ帝国の支配下に。

 そして、リオンが騎士団追放の知らせがユグドラシルのニーベ宮殿の牢にいた私の元にも届いた。

 シャルスは我が身可愛さに同盟国であったイクタベーレを騙し打ちし陥落させた。

 リオンは最後まで、その作戦を講義したが、受け入れて貰えず、騎士団を辞めさせられた。

 その後、行方知らずとなる。それは表向きの建前で、実際には殺されたんだと呟く者も多々いた。







 ―――――


 森を力強く駆け抜け、シャルス城が目の前に迫った。


「ハァハァ……リオン……」


 ユアンは不安な気持ちで押し潰されそうになっていた。

 もし、リオンが生きてたとして…まだ、シャルスで騎士団をやっていたとしても解放軍を相手するのは、容易ではない。

 我が騎士団の弓騎士ジェリド、大陸一、二を争うの剣豪ホリン、死神と恐れられているゼフィロス。それにイクタベーレの騎士団長を務めるジャイロ団長がいるのだ。

 いくらリオンが強くても……いくら七大秘宝の斧を持っていても、まず敵わないだろう……。

 運悪ければ死もありうる。複雑な想いが走る。勿論リオンが勝利して欲しいわけではない。リオンと皆がぶつかる前に止めたいのだ。

 リオンと最後に会ったのは三年前。その後、直ぐにこの戦争が起きた。


 私は捕虜になって噂を聞くくらいしかできなかった。

 もう死んだと噂する者もいた。彼を探したかった……。

 彼の生死を確認したかった……。

 捕虜になる前に会い行きたかったけど出来なかった……。

 私はユグドラシル騎士団の一部隊の部隊長。戦争の最中、ユグドラシルを見捨てる事なんてできない。

 ロッカ様への忠誠に背く事なんてできない。だからせめて私は貴方との約束だけは守る。


 その為にだけ戦い続けてきた。“この力、より良きモノに使おう”と言う約束の為に……。

 そして……貴方と再会する事を願って……。

 それが、叶うかもしれない。

 もし……もし本当に生きているなら……。

 もし……まだシャルスにいるのなら……。

 お願い間に合って。心にそう強く想い走り続ける。シャルス城は目と鼻の先……その時だ!


 ドドド……。


 地響きが起き……。


 ドゴォォーンっ!


 前方で何か爆発した。


(あれは……リオンのグラビドンボム……やっぱり貴方は其処にいるのね)


 次の瞬間、空に舞い雷を剣に受けるゼフィロスの姿が見えた。


(ま、まさかあれはゼフィロスの雷鳴剣っ!?リオンが危ないっ!!)


「スゲェー」

「あの攻撃をよく避けられたなぁ」

「流石ゼフィロスだぜ」


 解放軍の兵達のが口々に騒ぐ。ユアンは兵達の最後尾に到着していた。


「おい!どうなった?」


 後ろの方にいた兵が前にいる兵に聞いてた。


「着地の瞬間、相手さんの首元に切っ先を当てたところだ……決まりだな」

「っ!?」


 やばいとユアンは直感した。


「ちょっと待ってーっ!!」


 思わず叫んだ。


「すみません。ちょっと通しください」


 兵達は次々に道を開け、ユアンを通した。


「き、君は……!?」


 リオンが驚きに眼を見開く。ユアンは馬から降りリオンに駆け寄った。


「ハァハァ……リオン!生きていたのね……」


 ユアンは息を絶え絶えにしながら、喜びの眼差しを向けた。


「君こそ……ユグドラシルが陥落した時に最期まで勇敢に戦い散ったと聞いていたのだが……」

「えっ!?……あっ!今はそんな事より、ゼフィロス、お願いします。その人を……」


 斬らないでと繋ごうとしたが、その前に彼は何も言わず剣を収め去っていった。


「リオン……」


 ユアンの瞳に涙が溢れる。彼との三年ぶりの再会を果たせた歓喜の涙だ。


「ユアン……」


 リオンも同じ気持ちだった。二人は静かに抱き合う。

 シャルス軍も解放軍もそれを唖然としていた。そしてどちらからでもなく、離れ見つめ合う。



「本当に無事で良かった」


 最初に口を開いたのはリオンだ。


「運良く、殺されずにすんだの。でも捕われの身に……そこをアルスエード王子達解放軍に助けて頂いたの」

「そうだったのか……」

「リオンの方は?……シャルス軍を抜けたと聞いていたのだけど……」

「ああ……追放を受けたが再び入団させてもらったんだ。君が亡くなったと聞いて、君との約束だけは守らなきゃと思って戻って来た」

「約束?」

「ああ……」

「「この力、より良きモノに使おうっ!!」」


 二人の言葉がハモる。二人はお互いに約束を守ろうと努めていた。

 だからこそ再会を果たせたのかもしれない。

 どんな偶然だろうか……。

 どんな奇跡だろうか……。

 いや違う。お互いが約束を守ろうとしてきたからこそ、起こるべきして起こった必然なのだ。


「お願い!私達と一緒に戦ってっ!!」


 一呼吸置くと、彼女は真剣な眼差しでリオンに訴えた。

 しかし、リオンは眼を瞑り逡巡する。


「……俺は君との約束を守る為、この城を内部から変える為に戻ってきた」


 やがて、静かに答える。

 それによりユアンの眼差しが哀しきものへ変わった……。

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