第七話 紅き流星vs鉄壁の太陽
本当は彗星にしたかった……(笑)
ゼフィロスの赤く長い髪を引いて走り抜けるサマは美しい流星を思わせる。だが流星は所詮、小さな星。
キーンキーンキーンギーンっ!!
ゼフィロスの猛攻を迎撃し圧倒するリオン。
目まぐるしく跳び回り、何処を突こうと、リオンはただ一振りで全てを弾き返す。
その強固さは例えるなら太陽のごとく。近付けば小さな星など燃え尽きる。
獲物の相性を考えるなら、剣に分がある。斧には鬼人のごとく破壊力があるが、神風のように速い剣の前には、その破壊力は役に立たない。
まして、ゼフィロスの剣筋は読み辛い上に恐ろしい程の速い。だと言うのに、リオンはその一つ一つの流星をしかと受け止めていた。
流石はシャルスで騎士団長を勤めている事はある。しかし、全て受け止められても、尚ゼフィロスに浮かぶ笑みは消えない。
それどころか、心踊っているかのようだ。そうゼフィロスには、決して余裕がないわけではなかった。
キーンキーンキーンキーンっ!!
いくら強固な太陽で、流星を全て呑み込もうが、リオンは攻撃に転じてないのだ。
目の前では、赤き髪の者が紅き剣を持ち乱舞のごとく踊る。そのスピードは徐々に増す一方。流星が太陽を呑み込もうとしているかのように映る。
そんな激しい戦いの最中、ジャイロやホリン達解放軍が追い付いてきた。
「おっ!楽しい事やってんな」
ホリンが軽口を叩く。しかし、軽口等叩いているのは、彼だけだった……。
キーンキーンキーンキーンっ!!
他の面々はこの戦いに魅了されていた。流星のごとく降り注ぐ剣の舞。それをことごとく弾き返す強固な太陽。
もう敵も味方も無い。全ての者がステージで踊る二人の姿に魅力されていた。
「おい!いつまで遊んでだ?」
しかし、ホリンはそれに水を差した。
「フッ……」
ガチっ!!
ゼフィロスは紅き剣を持つ手に力を籠め、手首を捻った。
「ぬっ!?……はぁぁっ!!」
ズッドーンッ!!
リオンは、力強く地面を打ち付けた。すかさず間合いを取る。流石は騎士団長。あのまま続けていたら、確実斬られていた。
それを察知し一旦距離を置いた。ホリンは気付いていたが、ゼフィロスは本気を出していなかったのだ。
間合い離したリオンは、愛用の真紅の斧を天に掲げた。
ボォっ!
斧に火が灯る。
まるで太陽の光をあてられ燃えたかのように……火は炎となり、斧を燃え上がらせる。それを手に持ち、構えるリオンのサマは烈火怒涛ようだ。
「っ!?」
解放軍の面々は皆、驚きに眼を見開く。
「出るぞ」
「リオン団長の大技」
「グラビドンボムが」
敵兵達は口々に騒ぎだす。そして誰もがリオンの勝ちだと喜びに酔いしれていた。
「この斧は七大秘宝の一つ……」
リオンが燃え盛る斧の説明を始めた。
「炎の力を宿した、炎斧ファイザードックスだ!今これより、豪火の爆炎によって、汝を焼き付くしてくれようっ!!」
ファイザードックスを一気に振り下ろす。
「グラビドン……ボムっ!!」
ズッドッーンッっ!!
大地が割れ、炎を帯びた岩が大地の底から舞い上がる。まさに烈火怒涛の一撃。
ドゴゴゴゴゴ……ドッカーンっ!!
地割れは地走りになり、ゼフィロスの所で、大爆発を起こした。太陽は、鉄壁の防御にしかならないが、もし自ら動けるなら何物も呑み込み、全てを無に還す事ができる。
その例えの通り、リオンが反撃に転じてた時、凄まじい地走りと大爆発を起こし、抉った大地を無に還した。
そして戦場は、爆煙に包まれる。
ブォォーンっ!!
だが、その爆煙も直ぐに吹き飛ばされた。爆煙の中では、敵も味方もわからず乱戦なる可能性がある。
それ故、フージンで吹き飛ばした。皆と同じように、傍観者に成り下がっていたが、ここぞという時に機転が効くジェリドは、流石だと言うべきだろう。
爆煙が晴れた中に、ゼフィロスの姿はなかった。
「無に還ったか」
リオンは斧を背中にしまおうとした。
「まだ、しまうには早いんじゃないか?」
ホリンが止める。彼にはわかっていたからだ……。
「ん?」
『ライっ!』
上空より声が響く。太陽の呑み込む力も、流星の速さには敵わなかったようだ。
「な、何っ!?」
リオンが上空を見上げる。ゼフィロスは城壁よりも更に空高くにいた。
太陽の光に当てられ、赤き髪が光輝く。血に染めたような紅き剣は、雷を帯びて美しく輝く。まさに紅き流星っ!!
「靁宝の大刀よっ!!」
雷を帯びた斬撃が繰り出される。上空より雷を帯びた斬撃が飛来。流星が降り注ぐかのようにリオンを襲う。
「くっ!しのぎ切れるかっ!?」
炎を帯びさせた斧を前面に突き出し、防御体勢に入った。
真紅の斧が炎に包まれる。ゼフィロスが靁宝の大刀と名付けた雷鳴剣と呼ばれる雷魔法を帯びさせた斬撃を防ごうとリオンが構えた。
ゼフィロスが空中にいる以上、雷鳴剣が防ぎ切れたら、リオンに最大のチャンスが回ってくる。
ゼフィロスは、グラビドンボム避ける為にあえて空中に逃れた。
最も無謀に思える選択だ。左右に避ける事もできた。空高くではなくても、グラビドンボムをギリギリ避けられる位置に飛んでも良かった。
そうすれば爆風の中から一気に攻撃ができたのだから。だが、あえて空高く舞った。そう彼は背にあるものを利用しようと、瞬時に思い至ったのだ……。
「くっ!」
リオンが眼を背ける。いくら鉄壁の太陽を誇ろうが、本物には勝てなかった……。
ゼフィロスは、この太陽を利用するのが最も確実だとうと思い、この選択をしていたのだ。
ドーン……バリバリっ!!
「くはぁっ!!」
斧のお陰で直撃は免れたが、その頼みの獲物は、手から離れていた。
「くっ!ここまでか……」
ダンッ!…タタタタタ……。
ゼフィロスは、着地と同時に走り込みリオンに近付く。
「……良い技だったが……武器に頼り過ぎているな」
そして首元に切っ先を当てた。紅き流星と鉄壁の太陽の戦いはこうして決した。
「フッ…確かに君のソレと比らべたら、まだまだだったな……さあ人思いにやれっ!!(これで信念曲げる戦いから逃れられる。それにユアン…君の元へ行ける)」
リオンの顔は負けたというのに綻んでいた。これで救われると言わんばかかりに……。
「ちょっと待ってーっ!!」
しかし、ティアの時と同じく制止の言葉が入った。その声は、解放軍の兵達の後ろから聞こえてきた。
「すみません。ちょっと通しください」
兵達は次々に道を開けた。
「き、君は……!?」
リオンは、驚きの眼差しを向けた。
「ハァハァ……リオン!生きていたのね……」
またティアやラクームのようにエピソードを入れるので調整の為に、短くしました




