第三話 タルミッタ城での激闘
「そんじゃおっぱじめようぜっ!」
城に乗り込もうとしてるアルス達の後ろからホリンの声が聞こえて来た。
(いや、もう始まってるよ)
アルスは胸中ツッコミを入れてしまう。
外の騒ぎに皆、駆け付けたのか城の中はまばらにしか海賊はいなく、あっさりリュウザンとソラに片づけられて行く。
しかし途中で一筋縄では行かなそうな大柄の海賊がいた。
「此処からは行かせんぞっ!」
大柄の海賊は怒鳴り大斧を抱え出す。
「うるさー」
あまりにも大きな声にソラは耳を塞いでしまう。
「手筈通りとは行きませんが、この者少々厄介そうなので私は引き受けます。ソラ、リュウザン確りアルス様のお守りを」
「「はっ!」」
ジャイロは剣を構えながら言い、ソラとリュウザンは右て握り拳にし左胸に当てながら応えた。
「ジャイロ任せたよ。でも無理はしないように」
そう言ってアルスはソラとリュウザンを連れて大柄の海賊の横を擦り抜けようとするが……。
ガーンっ!
大柄な海賊は大斧を振り下ろし、アルス達の目の前の地面を抉った。
「今のはワザと外した。ここから先は行かせんと行った筈だっ!!」
「煩いですね。貴方は吠える事しかできないのですか?」
「何ィィっ!」
大柄の海賊が吠え、ジャイロが挑発し、大柄の海賊がジャイロを睨み付ける。
その隙にアルス達は大柄の海賊の横を駆け抜けた。
「行かせぬと……ぬっ!?」
地面に刺さった大斧が動かない。、ジャイロが剣で上から抑え込んでいたのだ。
イクタベーレ騎士団団長ジャイロ……イクタベーレ陥落前は副団長でしかなかったが、生き残ったベテラン騎士がジャイロだけになってしまったので必然的に彼が団長となった。
彼は14でイクタベーレ騎士団に入団。わずか十年で副団長の座を獲得する。一時期は団長まで上り詰めるが歳の為、衰えてしまいやも得なく再び副団長に降格した。
その剣技のバリエーションは豊富で見る者を飽きさせない。普段は剣を型通りの使い方をするが本気を出す時はまるでレイピアのような扱いをする等がある。
長年騎士団にいた甲斐もあり、アルスは勿論、アルスの父である先代国王のガイルバッハからの信頼は厚い。
また彼のイクタベーレの対する忠誠は固く、イクタベーレが陥落した今でもその気持ちを忘れない。
この二年、相談役のような事をしてアルスを見守って来た。勿論鈍らないように剣の鍛錬も忘れない。
それ故、現在大柄の海賊を抑え込んでいた。
「小癪なぁぁぁっ!」
「どうしました?」
大柄の海賊が吠え、シャイロが涼しい顔で返す。
大斧を片手で持っていたが、両手で持ち力を籠めるがピクリとも動かない。
地面に突き刺さっているのもあるが、ジャイロは軽々片手で剣を持ち抑え込んでいるのだ。見た目ではわからぬが剛腕と思わせる。
だが実際はどういう力加減で、どこ抑えれば良いのか長年の経験から良くわかっていたのだ。
「ふん!」
大柄の海賊がジャイロの剣を蹴り、剣をズラす。
その瞬間スッと大斧は持ち上がった。
「おぉぉぉぉりゃぁぁっ!!」
その刹那、上段から大きく大斧を振るう……。
ガンっ!
鈍い音を立ててまた地面を抉る。
しかし其処にはジャイロの姿はなかった。それもその筈、剣を蹴られた瞬間後ろに跳んでいたのだ。
「な、何ぃ!?……いつの間にっ!?」
冷静差を欠いてる大柄の海賊にはジャイロの姿は補らえていなかった。
「あなたは図体だけですね」
「なにをーっ!」
大柄な海賊は逆上しジャイロに突撃し始め、大斧を振り回す。冷静差が欠いてる為に力任せに振るうだけ。
普通の者ならともかくジャイロにはそんな適当に振り回してるとしか思えない物を軽々躱して行く。
スッスッスッスっ!
「お!楽しい事やってるな」
後ろからホリンの声が聞こえる。
「ん?貴公は指揮をしていた筈では?」
尚もスッスっと大斧を躱しながらホリンに声をかけた。
「肩透かしな連中だったから副隊長に任してきた……それより手伝おうか?」
「もう終わるので問題ありませんよ」
「ハァハァ…な、何をー……グギャーっ!」
ジャイロがニコやかに言った後、軽く足払いをした為に大柄の海賊は転びそうになる。
なんとか堪えたようだが隙が大きく出来る。
「はぁぁぁぁ……」
ジャイロが剣を掴む手を脇の下辺りに持ってきて気合を籠める。
「クロス・メッシャーっ!!」
シュシュシュシュシュ……っ!
眼にも止まらぬ突きの連打
ブスブスブスブスブス……っ!
バタンっ!
大柄な海賊の身体が蜂の巣状態にされ倒れた。
「海賊なんて所詮こんなものですね」
静かに剣を鞘に納める
「ほ~やるじぇねぇか」
「さて、ではアルス様を追い掛けますか」
「おー」
こうして大柄な海賊を倒しホリンと共にアルスを追い掛ける。
この戦いはジャイロが圧勝に見えるが、もしまともにやりやっていたら、どうなってたかわからない……。
実はジャイロは心理戦に持ち込んでいたのだ。最初から挑発する言葉を飛ばし、片手で持つ剣で大斧を抑え付ける事により、相手に自分より力があると錯覚させた。
それにより相手に冷静差を失わせ、その時点で決められたのだが、念の為に適当な大振りになった大斧を使わせ体力を奪い、そして大技で一気に蹴りを付けた。




