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戦慄のイクタベーレ ~敗退せし者達の母国奪還の軌跡~  作者: ユウキ
第二部 第四章 白き剣を持つ少女
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第四話 異様な少女

章タイトルを度々変えて申し訳ございません

しっくり来るタイトルがなかなか思い浮かばなかったもので(汗)

内容の方は変えておりません

 やがて塵旋風は治まる。敵軍は壊滅状態だがアルス達は無事だ。しかしラクームは、ぐったりして倒れていた。

 顔は青白く息もしていない。そしてもう一人ラクームよりマシだがセイラも片膝を付き息も絶え絶えだ。

 精霊との契約でマナを消費する。その上、即それを演唱破棄で使用し通常より多くのマナを消費した。

 これだけで済んだのは一重に彼女の魔導士としての能力が高いという事だ。

 だが問題なのはラクーム。彼は衰弱しきっていた。


「ラクーム!確りしろっ!」


 ラクームを見たアルスは直ぐ様、彼を抱き上げた。


「冷たい?冷え切ってる……」


 彼は、あの大爆発の瞬間とっさにプロテクトシェルでを唱え、皆を守っていたのだ。

 状況が状況なだけに演唱破棄。それに加えありったけの魔力を込めた為にこうなってしまった。


「ハァハァ……アルス王子、私は……ハァハァ……ラクーム殿をディーネ王女の元に……ハァハァ……連れて行く」


 セイラはふらふらになりながらラクームの元に駆け寄って来た。


「セイラ王女、貴女も無事ではないのでは?」

「私なら大丈夫だ。ハァハァ……だが戦力にならないのは事実。すまないが彼をディーネ王女の元に連れて行ったら、ハァハァ……休ませて貰う」

「わかりました。ゆっくり休んでください」


 アルスは安堵の笑みを溢した。


『神々よ……()の者を()の地に誘ざないたまえ……ソウテン』


 セイラはラクームにソウテンを使う。流石にいつものように演唱破棄してる余裕はないようだ。ラクームの真下に五芒星の魔法陣が現れ彼はそこに吸い込まれ消える。


()の地に誘いたまえ……ソウテン』


 続けて自分にソウテンを使う。今度は短縮演唱。まだ多少なら余裕があるのかもしれない。

 彼女の前に同じく魔法陣が現れそこに吸い込まれた。


「よし次の作戦に移るぞ!馬は……良かった調度二頭生きている」


 アルスが号令をかけた。四つ目の策だ。


「リュウザンとソラは予定通り砦の裏にいる敵を叩いてくれ」

「「はっ!」」

「残りの者は砦前面に配置してる騎士を叩く、サラやライアーラ騎士団と挟み撃ちにするぞ」


 アルス達は後退。ライアーラ騎士団が強襲をかけているので挟み撃ちになる。リュウザンとソラは敵兵が使っていた槍を拾い馬に跨った。

 四つ目の策は敵兵から馬を奪うものだがイスカがファイゴルを使ったせいで台無しにる所だった。しかし、調度二頭生き残っていたのだ。



 ・

 ・・

 ・・・



「行くぜっ!どけどけぇっ!!」


 砦の裏に回ったソラは露払いのごとくマルスト軍に突っ込んで行った。

 その突撃を止めれる者は誰もおらず、マルスト軍は彼の繰り出す槍と馬の(ひづめ)で蹴散らされる。


「そんな張り切ってるとまた怪我するぜ」


 後に続くリュウザンがソラに釘を刺す。そして先程と同じく華麗な槍捌きでソラが逃したマルスト軍を確実に倒して行った。

 ラクームが得た情報によれば砦前面に展開された騎士は400騎と大量だが裏は大した数はいないとの事。

 その情報は正しくすんなる叩けた。しかし一人の女剣士の登場で、戦況は一辺した。

 ソラは同じく突っ込むが、馬があっさり斬られたので飛び降り剣を構えた。

 リュウザンは生き残りのマルスト軍を確実に処理している。


「ごくりっ!」


 唾を飲む音が周りに響く程、ソラは女剣士を警戒した。そしてお互いに向かい合う。

 女剣士は十代中盤くらいの少女で、背中まである長い黒髪を結う事なくそのまま伸ばしていた。


(この女は……一体?)


 大抵こういう場面では如何にも実力者と思えるようなオーラを(まと)っているもの。

 だが彼女は違った……。

 その逆で全く出していない。覇気が感じらないのだ。それが不気味でソラを警戒させる。

 どんな弱者で闘気を扱う事に慣れておらず闘気技を出せない者でも一度戦闘体勢に入れば微弱ながら闘気を出すもの。

 彼女にはそれがない。心が雪に覆われたような冷たさを感じた。それが恐ろしく思える。ソラはそれを肌でヒリヒリ感じた。


(なんだ?この女の眼は……)


 眼付は放心状態のような変わった眼で、盲目の人のような何処を見てるのかわからない視線をしていた。

 つまり、相手の眼を見て次の行動を読む事も出来ないし、それがまた不気味でならない。

 更に彼女は、ぼーっと突っ立ってるのに関わらず隙が全く無い。

 手には刀身も(つば)(つか)も全てが雪のように真っ白な剣を持ってる。


 ソラは汗ばむ両手で剣を握り締め相手の出方を伺う。二人が対峙してどれくらい立っただろうか……お互い一歩も動かない。

 ソラは彼女を視界に入れるだけで滝のように汗が流れる。彼の中の警報が鳴り続けていた。

 やがて彼女はゆっくり一歩踏み出した。

 そしてもう一歩。

 また一歩。

 ジリジリとソラに迫る


「ごくりっ!」


 再びソラの唾を飲む音が響く。

 彼女はゆっくりゆっくりとソラに迫る。

 そして後六歩程で零距離という所で、突如彼女が消えた……。


 ギーンっ!!


 その刹那。ソラに斬り掛かって来ていた。ソラはかろうじてそれを防ぐ。

 彼女は剣を軽々と持ち、セフィロス級の速さを有していた。

 剣とはそれなりに重い。闘気を上手く扱えない女性が扱うとなれば、両手で持たなければ上手く振るえない程……だが彼女は軽々と片手で扱う。

 振るうだけなら可能だが、重さに引っ張られ身体のバランスを保つのは厳しいものがある。

 別に体型が、がっしりしてるわけでもない。華奢な少女だ。

 それに対しソラは両手で剣を支えて、なんとか彼女の剣を受け止めていた。


 カーンっ!ギーンっ!カーンっ!


 其の後も彼女の猛襲が続く。ソラは剣で防ぐが、一歩ずつ後退させられる。


 カーン!……ヒューン……ブスっ!


「しまった!」


 彼女の剣を受け続け手が痺れて来たのと元々彼女への警戒で手に汗をかいていた事もあり剣が弾き飛ばされ地面に刺さってしまう。

 当然ソラは無防備な上に剣が弾かれた時に体勢を崩している


 グサっ!!


「つぅー!!」


 砦の表側での戦いで突き刺されていた左肩に彼女の剣が突き刺さる。

 彼女は顔を狙ったが、体勢を崩れた状態でも何とか半身を反らし致命傷を避けた。それでも先の戦いで肩当ては使えなくなっていたのでもろに突き刺さった。

 ソラは痛みを堪え何とか距離を取ろうと右足で蹴りを繰り出した。


「あっ!すまない」


 ソラは右手で左肩を抑えながら素っ頓狂な声を上げた。彼の蹴りが彼女の()に当たったからだ。

 だが、彼女は眉一つ動かさず、ただダメージを軽減させようと後ろに跳んだ。

 それによりソラは一時的にピンチを脱する。

 しかし本来なら、そんな所を蹴られれば、どんなにクールな女だろうが、豪傑な女だろうが、“ふらちな”等の一言があっても良い。彼女にはそれがなく、それ所か眉一つ動かさない。

 これだと女性だというのは疑しい。だがもしこれが男なら蹴り飛ばした時に変な感触があった筈だ。しかし、ソラはそれを感じている様子はない


「ハァハァ……」


 ソラは息を切らす。

 女剣士は相変わらず覇気が感じられず眼付も放心状態だ。

 そして彼女は体勢を立て直し再び斬り掛かって来た。


(くっ!殺られる……アルス様!申し訳ございません)


 ソラは自分が終わったとそう感じた。だがその刹那……。


 ギーンっ!


「ほら言わんこっちゃない」


 間に入り、彼女の剣を防いだのはリュウザンだ。彼は残りのマルスト軍を一掃させていた。


「うるせぇ!(ちっ!嫌な奴に助けられたぜ)」


 女剣士とリュウザンの剣が交じり合い押し合う。


「ほらよ!」


 左手で素早く薬草を後ろに投げ、直ぐに剣を両手で持ち押し切ろうとした。だが全く動かなかった……。

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