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戦慄のイクタベーレ ~敗退せし者達の母国奪還の軌跡~  作者: ユウキ
第四部 第十一章 ソラとリュウザン
117/152

エピソード ????

ブクマありがとうございます

「……うん……ん……」

「気が付いたか?」

「此処は……うわぁっ!?」


 視界の先……遥か下に大地が見える。俺はその光景に驚いた。


「……飛んでいるのか?」

「今、私のペガサスの上にいる」


 バサンバサン……。


 耳を澄ますと羽音が聞こえる。


「ペガサス? ……くっ!」


 体中に激痛が走った。


「まだ動かない方が良い……君は瀕死の重傷を負っている」

「お前は……?」

「私はコリンだ」

「天賭ける…天空の……貴公子……?」

「その名は止めてくれないか? 面映ゆいのがある。ところで、すまないね。君を、君の部隊に帰してあげたかったんだが、私は国に帰らなければならない。途中、とある大賢者の元に降ろすから、其処で治療を受けると良い」

「何故俺を助けた?」

「さあ何故だろうね……まあただの気まぐれって奴かな。だから気にしないでくれ」

「気まぐれか……それにお前はあの場にいたのだろ? なのに何故戦列に加わっていなかったのだ?」


 もしコリンが戦列にいたら、ユグドラシル・ニーベ奪還は容易ではなかった筈、その事からコリンがいなかったのだろう。


「私の部隊ならともかく、初めての部隊を指揮しろと言われても無理があるからな……高見の見物をさせて貰っていた」

「だからと言ってニーベが奪還されれば、お前に取って不都合だろ?」

「やけに突っかかる。君に取っては悪くないだろ? ……まあ実のところ、奪還されて良かったと思っているんだがね」

「はっ!?」

「罪滅ぼしって奴かな……それより、もう少し休んだ方が良い……着いたら起こすから」

「ああ……すまない。そうさせて貰う……」


 そう答え俺は深い眠りに落ちた……。









 ――――――



「お前さ……星空を見てどんな事を考える?」


 夜空を見上げ唐突に呟いていた。


「どうした? 頭でも打ったか?」


 俺はそう返した。


「真面目な話だぞ……俺はさ、あの星々の輝き一つ一つが、この大陸に生まれては消えていく英雄の灯火のように思えるだ」

「やれやれこれは重症だな」


 俺は天を仰いだが、構わずアイツは続けていた。


「イクタ、マルスト一世、アルテミス、フレイヤ、グルノニアス……歴史を作ってきた英雄達が俺達が見詰めている。“一体お前は何ができるんだ”って、そう問い掛けている」


 夜空から俺に視線を移して続ける。


「俺は、そんな英雄のようにはなれない、その器じゃないから……でも、だったら、そんな英雄の為に力になりたいと思う。騎士団に入って、そう思うようになったんだ」


 俺は眼を閉じる。


「俺は、自分の存在を肯定してくれる人間がいればそれで良い。そいつに剣を捧げるだけだ」


 そう俺を肯定してくれれば、それで良い。


「例え、そいつが悪人であってもか?」

「そうだ」


 眼を開ききっぱり答えた。


「けっ! クールに出来ているんだな。お前って奴は実際」


 ああ…その通りさ。


「何だ…今頃気付いたのか?」



 ――――――









 眼を開く。意識が次第に覚醒していく。俺は木を背に座り、眠っていたようだ。にしても懐かしいものを夢見た。



 ◆◇◆◇◆◇◆



「アルス王子はガディウスを倒す方なのさ。この大陸に与えられた最後の希望(ラスト・リベレイター)なのさ……そして俺の掛け替えのない主君なんだっ!!」

「その邪魔をする奴は……殺すしかない! どんな事があってもなっ!! さあ始めようか……これが最終決戦だぜっ!!」



 ◆◇◆◇◆◇◆



 我ながらなんて台詞を吐いてしまったのだろう……。

 俺は……俺は、自分を肯定してくれる存在がいれば良い。そう思っていたなのに……。

 俺はメタリッカの血を引く。星々に忌み嫌われ、その力を封じられた。

 一部の者はメタリッカと名乗ると白い眼で見られ嫌悪される。

 だから決してメタリッカとは名乗らず、自分を肯定してくれる存在だけを求めた。


「クールに出来ている……か。だけどいつの間にか違って来てるみたいだぜ」


 空を見上げソラの事を考え呟く。


【運命は自分の意思で切り開くものじゃ】


 そう言えば、世話好きなじーさんが、そう言っていたな。


 スタスタ……。


 此方に向かって来る足音がした。


 ピタっ! 


 その者は俺の目の前で止まる。

 見た目は10歳くらい。瞳の奥にあるものには何処か懐かしさを感じるものを持った少年だ。


「どうした…何か用か?」


 少し冷たく言葉を掛けた。


「あ、あの…あ、兄から……」


 どうやら怖がらせたようだ。


「……ん?」


 今度は出来るだけ優しく聞く耳を持つ態度をした。


「騎士団にいる兄から貴方の話を聞いたんです」


 今度は確り言って来た。


「……どんな?」


「貴方の戦いぶりと…剣の腕とか……」

「性格の悪さとか?」


 嫌味ったらしい笑みを見せる。


「……え?」


 おっと戸惑わせたか。それでも俺の言葉を聞き流すように、直ぐ少年の眼差しはパーと明るくなった。


「だから僕、一度お会いしたくて…僕も絶対に騎士になりたいんです! 今も兄に剣を教わってるんです」


 しかし、直ぐに暗くなる。


「でも、なかなか上達しなくて…いつも叱られてばかりで……」


 今度は真剣な眼差しに変わった。


「どうやったら、そんなに剣が使えるのですか?」


 何処か懐かしさを感じる。そうアルス王子だ。少年が幼き日のアルス王子と被って見えた。

 護りたいモノを護れず強くなりたいと、藻掻くアルス王子に……。


「剣ってのは、どうやって使うかよりも何の為(・・・)に使うかって事の方が重要なんだ」


 今はわからないだろう……。

 だが、その真っ直ぐな眼差しがあれば、きっと変われる。


「………?」


 やはりわからないようだな。少年はポカーンとしている。


「いずれ分かるさ」


 今はそれで良い。アルス王子と同じように、いろんな経験をすれば、必ず理解できるだろう……。









 ―――――



「お帰りなさいませ」


 マルスト214世の執事が頭を垂れる。マルスト214世の直ぐ後ろに俺がいた。


「ああ」


 マルスト214世が頷く。


「あの…今回は国王自らが態々出向く程の反乱鎮圧ではなかったと存じてますが?」


 バサっ! 


「あわぁぁ…」


 マルスト214世がマントを執事に投げた。咄嗟にそれを掴む。


「反乱鎮圧? どうでも良い…俺はコイツ(・・・)の活躍を見てみたかっただけだ」


 マルスト214世の視線が俺の方へ来た。


「なるほど…兵達も噂しております。大胆にして的確な行動。素早い剣捌き……あれは閃光の豹(・・・・)のようだと」

「ふん……閃光の豹ね…」


 マルスト214世が薄く笑う。


「一体何処で見つけて来られたのですか?」

「俺に会いたいと勝手に城に乗り込んで来たのさ。ふふふ……おい! そんな甲冑さっさと取れよ……リュウザン(・・・・・)


 そう言われ俺は、鉄仮面を外した。

リュウザンが生きてる事を散々示唆させて来ましたが、一応死んだ事になっているので今回は????とさせて頂きました

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