雨色に染まる君をみれば
掲載日:2020/05/21
予感がした。これがもう最後になるかもしれない。
瑠璃色の目をした君の姿が徐々にぼやけ
て、ピントが合わなくなっていくのが分か
った。
初めて出逢った日にいつかこうなるときが来ることを知っていた。いや、本当は何も知らなかったのかもしれない。
その日は早朝から日こそ差していたものの、空気はどんよりしていて鉛色のナイフのようなものが身体の一部分を一定の速度で重たく突き刺している感覚がした。
帰りの車中で、ただひたすらに君ならきっと待っていてくれているという、そんな根拠のない希望を抱いて、それが祈りなのか逃避なのかも見当がつかないままであった。
もがき苦しむ中で、今にも迫る黒い闇の中と灰色の現実との間を何度も浮遊している君をただ見つめているだけだった。
雨が降った。その日が雨であると認識したのは、透明な滴が残酷なほど静かに君の顔に落ちていく様子を見てからであった。




