作戦①
『キーンコンカーンコン』
六時間目が終わった。友達と私は帰る準備をしていた。
「昼休みは大丈夫だったの?いきなりどっか行っちゃたからビックリしたよ。今までヤンキーと知り合いだったけ?」
「昨日知り合ったばっかり。ああ見えて結構いい人だから。」
「なら良かった。ところで今日一緒に帰る?」
「ごめん。今日は珍しくバイト以外の予定が入っちゃって。」
「バイトの日以外は一緒に帰りたかったのに。仕方ない。じゃあ私先に帰っちゃうね。」
「うん、また明日。」
どこに行くか聞かれなくって良かった。早速約束の場所に行かないと。
「おお、来たか。」
「はい、少し遅かったですか?」
「そんなこと気にすんなって。そういえば作戦を教えないとだな。今回の奴らはいつも夕方に水位が下がる川辺に集まる。高橋には引っ越して来た人が迷子した振りをして奴らが集まったところでフラフラ歩いてもらう。だからこれに着替えろ制服だとだめだからな。」
「はい。」
思ったより無茶じゃなくて良かった。手伝うって言ったからにはしっかりやらないと。誰にも言ったことないけど私結構演技には自信があるのよね。
「この服着たらなんか田舎の人みたい。」
「そう、そこがポイントなんだよね。」
「ええ?あなた誰?」
「ごめんごめん、私はここの作戦及び情報係。みんな待ってるから速く行こう。」
こんな子もいるのか。なんか意外ヤンキーって言ったらこんなイメージじゃないのに。知らなかったことって結構あるものなんだね。川沿いを暫く歩いていたら橋が見えた。
「あそこだ。」
九鬼さんが真剣な顔で橋を指した。こんな真剣な顔したらこっちまで緊張しちゃうよ。だけどきっとこれはここにいる人にとっては大事なことなんだな。
「今は向こうの人数が集まるまでちょっと離れたところで待つぞ。」
橋の下に2、3人の影が見えた。餌がいないと勝ち目薄いみたいなこと言ってたから人数が多いのかな。
「ところでここは九鬼さん仕切ってますか?」
「そんなことないがどうかしたのか。」
「いいえ、なんとなくそうそう思いました。」
「ここは特に誰が仕切るとかはないけど。あと今まで言ってなかったがその敬語やめろ。敬語使われる筋合いはないし長くて聞いてるこっちが疲れる。」
確かに最初から敬語使ってた。怖そうだなって思わず敬語になってたかもでももうこんなことはないし気にしない。
「うん、わかった。」