第一話 終わりから始まりへ
―――――――――――俺は今、1人の自称神(?)と2人っきりで真っ白な世界に居た。
俺の名前は、南雲水明、年は26の独身で、家は駅から徒歩で10分の距離にあるアパートの一室で会社は最寄駅から電車で一本という超近場で働いている。俺は今、某コンビニで買った肉まんを食べながら会社からの帰路にある横断歩道を渡ろうとしていた時、急に今渡りかけていた横断歩道の信号がチカチカと点滅し始めたのだ。
「あっ...やべ、赤になる...」
そう思い少し小走りになりながら渡ろうと思った直後、横からまばゆい光が襲ってきて俺の視界を埋めた。
「うわっ....まぶ....!」
そう思った瞬間、横から大きな鉄塊が、否、大きなトラックが迫ってきた。
「あ~、これ死んだな。」
そう思った次の時には俺は鳥のように、否、糸の切れた人形のように空を舞っていた。視界が真っ赤に埋め尽くされる、トラックの中から中年の男が一人降りてくるのがかろうじて見えた。浮遊感を感じて下を向いてみると、目と鼻の先までコンクリートの床が迫っていた。そして、次の瞬間、
「キキイイイイイイィィィ!!!!!!ゴッ!....グシャッ.....!!!!」
鈍い音を立てながら俺は意識を手放し、死んだ―――――――――――――
そう思ったのに俺は今、真っ白な世界でただ一人たたずんでいた――――――
「ここは、どこだ?俺はなぜ生きているんだ?」
「それには僕が答えよう。」
「....っつ....だれだ⁉どこにいる⁉お前はいったい何者だ⁉どこから話している、姿を見せろ。」
「おーけー、OK。今見せるからさ、一旦落ち着こうか。―――――ほいっと。」
そう言い俺の目の前に姿を現したのは、中学二年生ぐらいの中世的な顔立ちをした小さな男の子だった―――――――
「お前はいったい誰だ?」
「僕の名前はソラ、創世神のソラだよ。」
(こいつ今、自分の事神って言わなかったか?まぁでもここがラノベとかである世界って言うならあり得るが...)
彼がそう思ってしまっても無理はないだろう。なぜならトラックに轢かれて死んだと思ったら真っ白な世界で一人たたずんでいたのだから。そして突然声が聞こえてきたと思ったら小さな男の子が目の前に現れて自分は創世神だと名乗るのだから。
「ソラ?それがお前の名前か?」
「そうだよ。南雲水明君。これから僕のことはソラって呼んでね。」
「OK,ソラ。じゃあ、まず一つ目の質問だ。」
「何だい?」
「ここは一体何処だ?」
「ここは、現世と死者の世界との間に存在する僕たち神の世界、僕たちは狭間の世界って呼んでるけどね。だから君は実体はあるけど人に触れたりする事はできないよ。」
確かに実体があるわけではなそうだな。そういいながら、俺はソラの体に向かって手を伸ばすが、その手は触れることなく通過してしまっていた。
「それじゃあ次の質問だ。俺はなんでこんなところに霊化してまでいるんだ?」
そうソラに問うとソラは目をそらしながら、
「そ、それは、僕が冥界――あぁ、死後の世界ね?に行く前に君の魂をここに呼んできたからだよ。」
聞きたいのはそういう事ではない。そして、それをこいつ(創世神(笑))はわかっている。だからこそ俺は追撃するように問う、
「何のために?まさか、〝興味本位で殺したからです。”何て言うわけないよな?」
するとソラは、
「ソ、ソンナコトアルワケナイジャナイカ。ハハハハ....」
吹けてもいない口笛をしながら片言でしゃべる〝自称”創世神。そしてそれを編めた目で見る俺。
「....」
「....」
しばらく無言で見つめあうと....
「ご、ごめんなさあああああああい!!!!!」
ものすごい土下座を決めてきた。