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交通事故に巻き込まれました

 あれから一週間がたった。


 俺はどうすることも出来ずにただあの事件の情報を集めることしかできなかった。


 あの学校で人が消えた事件はマスコミに大きく広まりニュースにもなった。


 警察は集団拉致事件としてみているようだ。


 そのことで警察も俺に事情聴取をしたが、俺が本当の事を言っても信じる人はいなかった。


 高熱だったということもあり幻覚でも見たのだろうという扱いだった。


 その風邪も治り、今はこうしてネットであの事件の情報を調べている。


 ニュースとは違いネットでは様々なうわさが広まっていた。


 ドッキリ企画のものという説、神隠しにあったという説


 そして異世界に行ったという説だった。


 どれも現実離れた物ばかりが目立った。


 だがあの光景を見ている俺にとっては信憑性がある噂だった。


 パソコンを立ち上げてブラウザを開いた。


 俺はさっそく神隠しや異世界に行く方法で、ネット検索をした。


 そしたら膨大な量の情報が書かれていた。


 その中でも一番近くで行けるところに絞った。


 一番近かったのは、エレベーターで異世界に行く方法らしい。


 さっそく試すために家を出ることにした。


 事件の日着ていた黒色のベンチコートを着込み財布と携帯だけ持って出かけた。


 噂のエレベーターがあるところに向かう途中の横断歩道で、小学生くらいの男子と女子が仲良く道路を渡ろうとしていた。


 俺もそれに続き横断歩道を渡っていた。


「俺と雪もあんな感じにいっしょに帰ったけか」


 そんな事を考えているとすぐ近くで車の走る音が聞こえた。


 車の信号機は赤になっているのにどうして


 音のしたほうに向いてみるとトラックがこっちに迫ってきていた。


「まさか信号が変わったことに気づいてないのか⁉」


 この距離では走ってもトラックにぶつかる。


 このままでは俺ら三人仲良くあの世いきだ。


「くそ!」


 俺は小学生走って近寄り二人を横断歩道の先まで突き飛ばした。


 小学生二人は後ろから押されて前へ転んだが、なんとか間に合ったようだ。


 俺が二人を突き飛ばしたところで、トラックが目の前にせまった。


「あぁこれで死ぬんだな、すまん……雪」


 トラックにひかれて俺の体は宙をまった。


 体の骨にはびきっと骨が軋むような音がした。


 俺は何メートルもふっとばされ、地面を何回もはねた。


 ようやく止まり俺のまわりには血だまりができていた。


 そして俺の命はここで終わる…






 はずだった。


「あら? めずらしいわね、こんなところにお客さんだなんて」


 女の声がして振り向こうとしたが、体が動かない。


(というかめちゃくちゃ体が痛いイタイいたい)


 事故にあった痛みはそのままのようで、声に出して叫びたがったが、声が出なかった。


「でも残念ねあなたはもうじき死ぬわ」


 わかっていたことだった。


 車にはねられてそうそう生きている人間はいない。


 だけど


(死にたく……ない)


「どうして? どうしてあなたはそこまでして生きようとするの?」


 女の声が近くにで聞こえるようになってきた。


 どうやら俺のしゃべろうとしていることはわかるようだ。


(幼馴染を助けたいからだ)


「その子はあなたにとってどんな子なの?」


(一番大切な人)


「好きなの?」


(愛してると言ってもいい)


「ふふふ、あははははは」


 女の笑う声が目の前で、聞こえた。


 目をやると足しか見えなかった。


「いい……実にいいわ、あなたの愛、実に素晴らしいわ」


 女は少し興奮気味にしゃべっていた。


「あなたにするは、私によく似ているんですもの」


(何を言ってるんだ)


「あなたに私の力を授けてあげる」


 すると女は俺の体に触れた。


 そして自分に何か流れ込んでくくるのが分かる。



【『執着』のスキルを獲得しました】


【スキルを獲得したことによりステータスを獲得しました】


【狭間世界でスキルを獲得したことにより『限界突破5/5』を獲得しました】


【『限界突破5/5』が使用可能です。限界突破しますか?】



 そんな機械音が、頭の中に響く。


 なんだ? いろいろありすぎてわかんねぇぞ


「とりあえず、はいって念じればいいわ。そしたらあなたは生きられる」


 俺は言われたとおりに心の中ではいっと念じてみた。



【『物理耐性』のスキルを獲得しました】


【『自己回復』のスキルを獲得しました】


【限界突破を二回したことにより、全ステータスが四倍になりました】


【『限界突破5/5』は『限界突破3/5』に減少しました】



 その機械音が終わったと同時に体がどんどん治っていった。


 一分くらいすると立てるようになるくらいにまでは回復した。


 服やコートに血がついていたはずなのに、今は一滴もついていない。


 立ってあたりを見回したが、さっき足が見えていた女性は見えなかった。


「もっと力が欲しいのなら私の元へもう一度来なさい。次はただではあげないけどね」


 そうしてあたりは静寂に包まれた。


 俺はさっきまで起こったことが夢なのではと思ったが、そんな淡い期待はすぐ消え去った。


 学校で見た時と同様の光が玲司を包んだ。


「な⁉」


 そんな言葉しか出せず、玲司は光に飲まれて消えた。


 




 ねぇ知ってる。


 あの横断歩道ってさぁ


 知ってる知ってる。


 なんでもデートに行く途中だった女が交通事故に巻き込まれて死んだって話


 あそこには女の未練が残ってて今だにあの横断歩道で彼氏を探してるって


 まぁよくある怪談だよね 

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