勇者の思い
あらすじ︰いっぱい変なの見たの〜
「主、警戒を邪な獣の匂いが強くなった」
「なになに、やっと私たちの出番到来てやつ」
「アカネはしゃぎすぎ、まぁわからなくもないけど」
「キバくん魔物ってどれくらいいるの?」
キバくんは眉をしかめると
「囲まれたな、100はいるとみて間違いないだろう」
キバくんのその言葉を聞いていた村人達が騒ぎだし次第に次の人へ次の人へと騒ぎは広がり騒ぎが村を呑み込む。
「終わりだ.....終わりなんだ…いやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだーいやだいやだー」
「落ち着いてください‼」
男はコユキの手を強く払うと
「うるせーー俺は生きるんだ」
そう言うと馬車に男は乗り込みコユキの横を勢いよく通り抜けてしまう。
「コユキ危ない」
「えっ」
アカネがコユキを自分の方に引っ張ると同時に馬車が2台目3台目と出て行ってしまう。
「なんなのよう もう」
「どうしよう、あの人達を連れ戻さないと」
「コユキ君、それは残念だが諦めてもらうしかないよ。今はここにいる人達の安全が最優先だ」
コユキは少し俯いたあと涙目になっている顔を上げシロハを見上げる
「…でも」
「主、これ以上助けれるかもしれない命を無為に失ってもいいのか」
「キバくん……うん、そうだね。 今はここにいる人たちだよね」
コユキ達は、今いる村人達を守るために行動を移す。
村人には一番丈夫であろう村長の家に避難してもらう。
そして、シロハとアカネは村の両端に移動し詠唱を唱えてゆく。
「「──我が望は穢れを知らぬ我らが誇る白き城!!」」
村は白い半透明の城壁と城の結界に覆われていく
これが結界.....綺麗だな〜
「主」
「うん、行こうキバくん! 出撃なの」
コユキの体が一瞬青く光ると同時に地を駆け地を強く蹴ると一瞬のうちに魔物の前へと躍り出る。
大地を強く砕くように踏みしめると同時に叫ぶ。
小雪が地面を踏み砕いた足を視点に魔力が広範囲と広がる。
「アース、剣山‼」
叫んだ次の瞬間、魔物達がいる地面は砕け一瞬のうちに次々と突き出る岩の杭に貫かれ絶命する。
「あと半分!」
魔物の生き残りが居ないかも確認しぬままに反対側へと移ろうとするコユキの首を刈り取らんとする剣をキバが噛みとどめ、「えっ」という言葉は掻き消され、そのままコユキをも巻き込んで林へと吹き飛ばされていく。
木に打ちつけられ咳き込むコユキの兎耳に舌打ちと殺せなかったかという少年の声が聞こえてくる。
「誰……」
朦朧とする視界の中見たのは、まるで生きてるかのように鈍く黒い中に赤いところがある臓物に見える長剣を持つ少年がいた。
「っで、あんた何者だうさぎ女郎」
「ケホ…はぁはぁ…女郎って酷いの、私はコユキ」
まだ半分残ってるのに新手か…
「では、改めて聞こう。あんた…否、あんたらは何者だ?」
「だからコユキって名前があるって言ってるの‼」
なんで勇者が此処に居るのかは解らないけど、とりあえず敵だ!
コユキは地を強く蹴り敵へと突っ込む
「おいおい、バカ正直に突っ込むとか死にてえのか」
勇者は剣を上げると強く振り下ろす。「ミラージュ」そこにあるのは、驚愕に目を見開き頭から切り裂かれ腐り落ちるコユキだった。
しかし瞬時にそれは薄い硝子のようになって砕け散る
「どこ見てるんですか? 勇者リク」
「なっ」
いつの間に懐に入りやがった!
「氷神─」
リクは直ぐ様、剣を横に薙ぐ
それと同時に斬られたコユキは直ぐに砕け散ると同時に2人のコユキが現れる
「くそ、分身? いや、幻術か? 」
幻術にかかってる感じがしないということは、対象に術をかけ見せるタイプじゃなく 幻を作るタイプか、しかし何故実体が有る
「死ね」
リクは右側にいるコユキを切り裂き、そのまま左のヤツも斬ろうとした時、斬られたそいつはゾンビのように腕へと絡みつきた。そして「死ならば諸共」と言葉と一緒に笑った気がした。
すぐに変化は訪れた腕に絡みついたそいつは鉄の像になり鉄象から計3本の杭が生え俺の腕を貫き鉄像は二の腕に牙を突き立ててきた。
鉄像からは太めの鎖が地面へと伸びておりまともに動くことが出来ない。
「勇者を舐めるなー! 闘刃」
左から襲ってきた最後の1人を闘気で作った刀で、盾にしようとした氷の槍ごと首を切り落とす。
「えっ」
何かが通ったと思った時には遅かった。
目に映るのは氷で作られたであろう戦斧とそれを地面に叩きつける兎の女そして重力に引っ張られ落ちる俺の左腕
「あ、ああ、あぁぁぁぁぁぐっぁがっぁぁぁああ…」
左腕を認識した瞬間、鉄像の鎖が勢いよく地面に飲み込まれ強く地面に叩きつけられる。
同時に右腕の鉄像が二の腕を肉を断ち骨を砕こうと強く噛み付いてくる。
「えーと勇者さん聞きたいことがあるんですけど良いですか?」
こいつ、殺す殺す殺す
「えーそんなに泣きながら睨みつけないでほしのーと思うんですけど〜っで なんでこんなことしたんですか?」
「っ言う…か」
「はぁ〜正直、私今魔力があまりないんですよねー 本当ならスキルの力でもっと回復してもいいんですけど? なので最後にもう一度だけ言いますよ なぜやったんですか? 正直に答えてほしいなーと思うの。どっかの国みたいに無実の人を殺したくないもん だから早く、ね?」
兎女は短剣の形をした氷のように見える波打つ何かを突きつける
「殺せるか!勇者を殺せば罪人だ! そうなればあんたらは、殺される」
俺がどれだけ苦労して仕組んだと思ってる。それなのにそれなのにそれなのに‼ ただ今より強く多くの者に勇者と崇められたかっただけなのに。それをそれを邪魔した邪魔した邪魔した邪魔した邪魔したーーー許せるか!
「あぁっぁぁぁぁぁっぁぁぁぁぁ……ぁ…ぁ」
「─レコード 記録して」
コユキは短剣のような何かを勇者リクの頭に突き立てたのだった。