3
碧からの返信が届かない。
柾と尚は顔を見合わせて首を傾げた。
朝食を取りながら今日の予定を立て、碧の携帯端末へ連絡を送った。
すぐ返信を送ってくれる碧だが、今日に限って返ってこない。
「行ってみる?」
家に向かう提案を尚は頷いて受け入れた。
碧は市内にある自宅から学校へ通っている。
柾たちの学年では自転車通学が禁止されている為、碧は徒歩で通学している。
バスは人が多くて嫌なのだという。
二人も家に遊びに行く時は歩いて行く。
公園を横切り住宅地を通り抜け、川沿いに出た。
暫く歩くと、川に小さな橋が架かっている。
その橋を渡った先は、左右をコンクリート塀で挟まれた道になる。
塀の高さは柾や尚が手を伸ばしても、天辺には届かない。
ここを通る度に、この塀の向こうには何があるのか不思議だった。
尚に「この向こうって、どうなっているんだろうな」と何気無しに言ってみた。
隣に並ぶ少年も知らないだろうと、当然のように思っていた。
ところが「水門があった」と予想外の答えが返ってきた。
「何で知ってる!」
驚いて尚の肩を掴む。
「前に碧と脚立を持ってきて上がった」
「えー・・・」
誘われなかった不満がありありと顔に出る。
「だってお前、その時いなかったから」
少しも悪いと思っていない口振りだ。
「ひどいやつらだ」
「また来ればいいさ」
くすんだ鼠色のコンクリート塀の天辺へ、口を曲げた柾が目をやると、灰色の上空に鳥の黒い影が旋回しているのが見えた。
「つまんねーの」




