明さんと一点足りない赤点
「ぬわぁー!!」
授業中、先週行われたテストを返されて騒いだのは明だった。
その場で先生に怒られていた。
「さっきどうしたの?急に叫んで。」
私はそう言って明の席にいった。明は頭からプシュー、と湯気を出していて、まるでゆでダコみたいだった。
「うわぁ?西城どーしよ!私、赤点だぁー…。」
そこまでへこむことないのに。
「って、たった一点足んなかっただけじゃん。これなら、平常点とかあればすぐじゃない?」
「うぇ?平常点?」
こいつは本当に高校生か?と、思うのはいつもなので黙っておこう。
「うん、それくらいなら、まだ赤点じゃないよ。」
「そっかぁ!よかった!」
そう言ってまた笑顔になった明を見てほっとしていると、先生が入ってきた。
「上條、お前今日のテスト赤点だから補習くるように。」
明はその場で固まり、触れば崩れそうになる。
「ま、まあ、たった一点だし、すぐ終わるよ。」
「そ、そうだよね!西城とまた遊びたいし!」
後日談、明が補習から帰ってくるのを待つことにした。授業から放課後へと移り変わってすでに二時間が経過していた。
すると、ふらぁ、ふらぁ、と明がやってきた。
「明?なんでそんなに枯れているの?」
「さ、さいじょ…。一点って、大事なんだね…。」
なにがあったのかわからないけど、赤点は取りたくないと思った。
ふらふらしている明に、私はにこりと笑って。
「おつかれさま。」
赤点は恐ろしいものです…。学生の皆さま、お気をつけてください。
たまたま読んでいただいたのであれば有難うございます。