明のメールがおかしい
ピロリン、そんなふうにケータイが鳴るのはメールがきたときだった。
送信者は明だった。
『西城、私のこと好き?』
「好きだよ。明は私のこと好き?」
となりのほうからボタンを押す音が聞こえた。
『好きだよ!じゃ、西城は私のどこが好きなの?』
「そうだなぁ、新しくケータイを買って喜んでメールで私と会話しちゃうところとか?」
そう言って私はとなりに振り返る。
「明、そろそろ普通に話そうよ。疲れてくる。」
『もう少しだけやらせちっく!』
「メールでも明語使わないでよ。」
そう言って明からケータイを取り上げる。
「あー!西城返して!これがないと私は西城と会話出来ないんだから!」
「昨日の自分を思い出せば、私との会話の仕方も出来るよ。」
まあ、会話がしたいのは私の方なのだが、照れ臭いからメールで伝えることにした。
『明のことが大切で大好きだから、私はこれからも明と話がしたい』
送信っと。
「ああ!」
私がメールを送ると同時に、明が奇声をあげた。
「充電なくなっちゃった!どーしよ!」
「はぁ…。まったく、おっちょこちょいだな。」
そして、少しだけ安心した。
あの恥ずかしいメールを、まあ、送ったのは私だけど、それを今見られなくて、本当に良かったと思う。
この後には、自宅でメールを見て返信に困りながらも顔を赤くする明ちゃんと、なんであんなメールを送ったのかという後悔だけが残った西城ちゃんがいましたとさ。
たまたま読んでいただいたのであれば有難うございます。