西城run
私は走っていた。誰のためでもなく、自分のために。
「はぁ…はぁ…。」
たったの3分も走らないで息がきれてきた。
私が走り始めたきっかけは、学校の身体検査が原因だった。
身長バストが変わらないのに、体重だけはしっかりと増えていた。
これはいけない、そして明にも言えない。
だって。
「太ったから走ってダイエットしよー。」
なんて言ったら。
「え、西城太ったの?ごめんなさい。私、もう西城とは付き合えない。私、細身の人がいいの!」
とか言われたらどうしよう!って、考えてしまって、必ず明と別れた後に走っていた。
「はぁ…、ちょっと…休憩。」
近くのベンチに腰をかけた。
「やっぱ、運動不足なのかな?はぁ…。」
その時だった。
「おれー!?」
自らをすごく強調しているような声が聞こえた。
「西城じゃん!なになに!西城も走ってんの!?」
明だった。
「あ、明。ど、どうしてここに?」
「うーんと、なんか、体重が増えてたからダイエットですよ!」
私と一緒だ。
「そうなんだ。よかった。」
私だけじゃないんだ。
「なにがよかったの?」
「なんでもない。それより、一緒に走る?」
「うん!」
そうして、私はベンチから立って、明の横に並ぶ。
「せーの!」
明のその声を合図に、私たちは走り出した。
お世辞にも、明は足は早くなかった。
けど、私は明のペースに合わせて走っていた。
明と一緒にいたかったからだろうか。
私のためでもあるのだろうけど、なんとなく、誰かのために走るのも悪くないと思った。
私は県選抜に選ばれるくらい早いですよ!(夢の中では)
たまたま読んでいただいたのであれば有難うございます。




