第8話『天使と悪魔』
この世には天使と悪魔がいる
なんて、だれが言ったのだろうか
どっかーん
今日も色んな所で爆発音がする
それに苛立ちを隠せないままの少年、チトセは爆発音がした場所へ向かった
「あっはっはっはっシルヴィオは魔法が上手いなぁ~!」
「天使だから。」
「そうだな~天使だもんなぁ~!」
きめぇ
チトセは心の中で(多分声にも出した)そう呟いた
デレデレしているエルラードなど不愉快極まりないとでも思ったのか冷水を浴びせた
「つめてっ!」
チトセがいることに気づいて睨むエルラード
それに動じず冷ややかな視線を送るチトセ
薄々というかもう分かってるだろうが二人は仲が悪い
かなり
実力的には完璧にエルラードが勝ってるはずなのに何故力でねじ伏せないのかと言われればそれはもちろんイアンの息子(血は繋がってないけど)だから
逆にチトセがエルラードを攻撃しないのもイアンの愛人(認めたくないけど)だから
なので二人が喧嘩する時はこんな感じだ
「何してくれんだよ濡れちまったじゃねぇか」
「頭の花に水かけてやったんだよ感謝しろ」
「頭の花って何、馬鹿なの?そんなやついねぇよ」
「てめぇの脳みそ使い物になってねぇって言ってんだよ分かんねぇのか?とんだクズだな」
「俺脳とか関係ないから、つーかクズはお前だろ?」
「はんっ犯罪者がよく言うぜ」
「お前も犯罪級にファザコンだろ」
「はぁ?」
となって
「今日こそぶっ殺す」
「望むところだ」
「わああああやめてええええ!!」
と、なるのだ
2人が戦うのを止めに入るのはゼオ、もしくはイアン
イアンが止めに入った場合は即座にやめるのだがゼオがいけば存在すら認めてもらえず止めることはない
それでも止めに行くのは馬鹿というかなんというか
大体…ゼオが行った場合は
「やめてってば二人とm(((((((」
チトセとエルによる攻撃が綺麗に決まる
そしてゼオが死ぬ
何回やってもまた行くのはほんとドMって感じだ
これで喜んでたらまじきも
「エルにも殴られてるから流石に喜べない」
きっしょ
要するにチトセくんだけに殴られるのなら喜ぶと…
きっっっしょ
「きめぇよ」
「酷いっ!」
でも嬉しそうというね…訳わかんないんだけど
「これがチトセからの愛だからね…」
「…殴ってもいいか?」
「ごふっ」
聞く前に殴るチトセくん、それ聞いた意味あったのかな?
そしてまた床に沈んでる赤い変態、そのまま動くなほんとに
あぁ…こんな所に住むことになってしまったシルヴィオくんがとても可哀想
私助けてあげたい…
「しーるー!遊ぼー!」
「とう…かあ………イアンさん…」
「もう!父さんでいいよ?」
「んと…父…さん…」
「そうそうっ!」
何このふたり可愛い!!!可愛いわぁー!
でもこういうのを見ると天使と天使だよね…
暫くなんて呼べばいいかで悩んでいたシルヴィオくんだけどイアンさんに言われて恥ずかしがりながらもちゃんと父さんって言ってるし!
…でもそうすると…
「…」
チトセ君からしてみれば面白くないよね…大事なお父さん取られちゃったし…
(親父まじで可愛い)
こいつやっぱりダメだ
じっと見てたのはイアンさんが可愛いからか!お前も変態だぞ!
この家は終わりだと半ば諦めながら2人が平和に……ものを破壊しながら遊んでいるのを眺める
エルラードもチトセくんもこういう時だけは仲良く見守ってる
なんだろう
1人でも悪魔になれば皆悪魔になっちゃうし、誰かが天使になれば悪魔は消え去る
この世はどうやら平等に過ぎていく事は無いようです…
まぁ、ここにいるのは天使×2と変態と犯罪者と…
どっかああぁあぁぁあん
「親父。」
「あ、その…あぅ…」
「直してやるからそんなに怒るなよ…」
「それだと何回もやるだろ、無駄にものを壊すことはいい事なのか」
「…すんません」
全ての主導権を握る主夫ですもんね…そもそも悪魔は居ませんでした……
「悪魔っていうか…魔王…かな」
「どうしたアイ?お前も説教か?」
「な、何も言ってないよ!!」
冷たい視線というか俺いまキレてるんだけどみたいな顔されて萎縮してしまった私はそそくさとその場から離れる…
そしたらシルヴィオくんがそそそっとチトセくんに近寄った
「チトセ兄…ごめんなさい」
「…まぁお前は悪くないんだろ、許してやるよ」
しゅんとして謝るシルヴィオくんに少し気が削がれたのか優しく許してあげるチトセくん…チトセ兄なんて呼ばれて嬉しかったのかな?可愛いところあるなぁ~
まぁ、そんなこんなで一人の天使のおかげでイアンさんもそんなに怒られることなく済んだようです…
良かったね!イアンさん!
「チトセこわいぃぃ…」
「あれは助けられねぇな…うん」
「それでもやっぱり怒ったチトセはちゃんと叱るよね…」
…どんまいイアンさん…そして君たち…
今日のご飯はきっと惨状だ…