第3話『インドアで行きましょう』
「…何してんの?」
「暇を持て余した」
昼間から眉間にシワを寄せて目の前にいる魔法オタクを睨んでいるチトセ、なんでそんなに怒ってるのかといえばやはり今睨んでいるやつのせいなのだろう
あぁそういえばテレビが新しくこの家に来ていた
何故か4台
チトセが怒ってるのはそのせいなのだろうか?
「暇を持て余してテレビ4台も買うやついねぇだろ」
「ついでにプレ●テ4も買ったぜF●しよ」
悪びれる素振りも見せずむしろ嬉々としてそれを言うエルラードにチトセは珍しく笑みを見せて
え、なに急に笑ってんのと隙をみせたエルラードに
華麗なる回し蹴りをいれた
そしてエルラードは綺麗にめり込んだ
因みにただの回し蹴りではなく魔法により強化された回し蹴りだ
憶測の話だが普通の人間にやれば死ぬのではないだろうか
魔鬼だというのにこの野蛮さは何処かで調べられても可笑しくないくらい種族にあってない
今までのやりとりを呑気に眺めていたイアンとゼオはぶっ飛ばされたエルラードを見て可哀想とか痛そうとかいう思いは全くない目でぼーっと見ていた
「つーかこれ返してこいよ、使わねぇだろ」
「みんなで遊ぶのに買ってきたんだけどなぁ」
責め立てようとしたチトセが一瞬思考回路を止めた
みんなで遊ぶのに買ってきた
その言葉が誰を動かすか一瞬で理解したからだ
「みんなで!?」
先程まで見ているだけだったイアンが目を輝かせながらエルラードを見た
壊れた壁を修復してからエルラードは勝ったような挑発的な笑みを浮かべ
「おう、やるか?」
と、イアンに聞いた
そうなればもちろん答えは
「やる!」
と返ってくるわけで、取りあえず自分はしなきゃいいと考えついたチトセは1台だけでも返してくるように言った、そうすると
「チトセもやろーよー」
とせがまれた
どうするファザコン!
「……少しだけな」
あっさり陥落したファザコンはやはりファザコンだった
チトセが落ちればゼオも自動的にやることになる
我が家は一時期ゲーム一家となった
実は少し前からやっていたらしいエルラードは私のキャラも作ってくれた
エルラードがやってない時はやっていいらしい、なら朝から占領してやろっと
一部屋に4台もある必要が無いので取りあえず二台ずつに分けることにした
各部屋に1台ずつと考えたのだがゲーム音痴が2名居たことが発覚しこのような形に、エルラードの手により無理矢理出来た二部屋はゲーム部屋となった
では取りあえずゼオとチトセの部屋を見てみよう
「なんでお前と一緒の部屋なんだよ…」
愚痴のようにこぼすチトセに「まぁいいじゃん?」と笑いながらコントローラーを握っているゼオ、取りあえずの設定も終わりキャラクターを作る所まで進んだらしい
一方生まれて初めてテレビゲームをやるチトセはコントローラーの操作にもたついていた
その様子を見ながらやっているゼオは早く頼んでくれないかななどと夢にしても馬鹿らしい事を考えていた
「チトセは猫の種族がいいな~」
「俺犬派なんだけど」
まず決めなければならない種族、ゲームに集中しすぎてか聞いてるのか聞いてないのかわからない返答をするチトセ
「まぁまぁいいからそれにしてよー」
少しの希望をかけて推してみるゼオ
(面倒いからいっか)
悩むのに疲れてきたチトセはゼオに言われた通りにし、外見は自分に似ているようなものにした
そしてそれに機嫌を良くしたゼオは身長の高い種族になって結構てきとうに決めた
さてとどんな戦闘職になるかは向こうを見てからにしよう
チトセ達の部屋を出てエルラード達のとこへ向かう
そこでは何故かちっちゃい…というか完璧エルの趣味っぽい感じにさせられてるイアンと女性キャラがもう始めていた
いやおいちょっと待てよ
何故女性キャラがいるんだ、被ってるだけ?だけだよね?
「♀ならどんだけストーカーしてもいいよね」
「…」
ついに引かれてますけど
エルラードはそこら辺にいる小人族(とでも言えばいいのか)を追いかけ回していた
まさに変質者
イアンは取りあえずそっとエルラードから離れた
「あ、そうだイアンに装備一式やるよ」
前からやっていたエルラードはそういう事も出来たらしい
装備一式を作っていたエルラードはイアンに渡した
渡すのにも操作がもたつくイアンに笑いながらも教えるエルラードはいつもより穏やかそうだった
やはり彼はインドア派だった…
「あ!エルの名前がついてる!」
「俺がその装備作ったからな」
ちょっとしたことに喜ぶイアン、やはり精神年齢が若い
もっと落ち着きがあるものだろう、同年代を隣に置いてみたいものだ
「あ、つかあいつらも出来たらs…ゼオでか!」
「チトセに耳としっぽついてる!引っ張りたい!」
そして興奮するおっさん達
合流したので戦闘職を確認してみた
まだそのジョブではないが…
エルラード→黒魔道士
イアン→竜騎士
チトセ→ナイト
ゼオ→モンク
ゼオはモンクの後忍者になるとか言ってる…あ、チャット出来るんだなるほど…離れてても出来るんだなぁ…
あ、チトセもナイトじゃなくて暗黒騎士になりたいとか…
ほー
……
「今日外出た人いる?」
「…いなくね?」
「俺今日ずっと家にいたー!」
こんな珍しいことがこの家に起きるとは…
インドアすぎては困るので取りあえず1週間に1回制度をつけた
結構みんなやり込んでるんだから…
「アイもめっちゃやってね?」
「あたし機械で産まれたかったなぁ」
「チート出来そうだからやめろ」