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雅美の書簡  作者: 唐子
【二年目】
14/30

櫻井 善(6月2日)

『 櫻井 善 様


 過ごしやすい季節になってまいりました。いかがお過ごしでしょうか。


 お手紙どうもありがとう。私は元気です。学校に仕事に、日々忙しく過ごしています。


 花梨と荘助は、表面上変化はないのですね。実際会って話さなければわからないほどの微妙な変化なのでしょう。気づいてしまうあたり、付き合いの長さが知れます。荘助も含めて櫻井君と花梨と渥美は、ひとかたまりで仲が良かったですものね。



 村自体について知らずにいたこと、どうか自分を責めないでください。

 普通に暮らしていて、まさか自分の血筋にそんないわれがあるとか、普通は考えられるものではありません。あんな妙な話を真に受けてくれて、それだけで感謝しています。


 でも、できれば、これ以上踏み込まない方がいいです。


 この話は村でも古い考え方で、今でも律儀に守っているのは、古い家の人間でも極一部です。

 知らないなら知らないままの方が絶対いいですし、事実、知らないままでも村での生活に支障はなかったでしょう?


 この考え方も風習も、古臭いもので、現代にそぐわない、時代遅れの因習です。残せる者だけで残していけばいいのです。

 事実、私は村長の跡取りでしたが、村の外に出るという掟やぶりを犯しています。それをとがめる人もいますが、ほとんどはとがめません。そういう時代だということです。

 渥美や壱織人にも聞いてみてください。この手紙を見せてもいいです。きっと、私の考えに同意してくれることでしょう。



 花梨と荘助の報告ありがとうございます。

 でも、これも、渥美や壱織人から報告が来るので、櫻井君は無理しなくてもいいです。切手代もかかりますし。

 言われずともなことでしょうが、これからも彼らを見守ってやってください。


 どうぞ健やかにお過ごしください。

 それではさようなら。



  6月2日

   師村 雅美 』




※ こっから不穏ターン入ります。

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