表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
雅美の書簡  作者: 唐子
【二年目】
13/30

春日 渥美(5月30日)

『 春日かすが 渥美あつみ


 お手紙ありがとう。事態はおおよそ把握しました。


 多分、櫻井君が聞くとしたら、あなただろうとは思ってました。一番近しいし、今回は櫻井君と似たような立ち位置にいるしね。


 村のことをいろいろ説明してくれたみたいで、ありがとう。壱織人も一緒に、というのは英断だと思います。二人の方が情報も偏らないし不足も補えるだろうし。

 彼も越してきて長いし、知っていても不思議はないかとは思っていたのですが。感覚的な部分も多いので、きちんと言葉にできる渥美と、記憶力だけは馬鹿みたいにいい壱織人が説明を担ってくれてありがたいです。

 ――本当なら私の役目だったのに、果たせなくてごめんなさい。


 渥美も花梨と荘助に気がついていたと知り、安心しました。二人のことは、気づく人には周知のことになっているのですね。

 やっぱり、私が大げさなだけかしら?じわじわと煮詰まってきていると聞いているし、感じてもいるのだけど。当事者達はどんな雰囲気なのかしら?

 壱織人からの手紙には「面白いことになってる」としか書いてなくて、ほんとあの男、なんなの。勉強できる馬鹿とは壱織人のことだと思う。そういえば、渥美は花梨たちに一番近いようでいて、その実一番傍観者なのだと勝手に思っていたの。事実その通りのようで納得しました。

 話がそれましたが、これからもどうか、客観的な経過報告をお願いします。純粋に心配もしているので。


 村には、盲目的なまでに一人の人間に囚われる人が多すぎですね。なんでなのかしらね。


 花梨と荘助のこと、余計なお世話でお節介で杞憂だって、わかってはいるのよ。あの家の事情は知ってるし、あの子たちがその枷に縛られてて、足掻いているのも知ってるから、どうしても過保護よりに考えてしまうわ。もう高校生なんだから、こんな心配なんて本当に馬鹿親みたいで、みんなみたいに彼らの一進一退を揶揄して楽しめれば、私だって心安らかなのだけど……いけないですね。このお役目も、そろそろ必要ないのだと、わかってはいます。


 すでに持ち上がっている市町村統合の話で、村は村ではなくなるし、私の家も村長の家系ではなくなる。神様のいる時代でもなくなったし、守らなければならないものも、もうない。時代の流れね。


 多分私は、私のいない間に起こる変化が怖いのです。だから変化に敏感になってしまう。置いて行かれるのが怖いのかもしれない。でも、これは私の勝手なのよね。

 私自身が変わっているのだから、何が起こったっておかしくはないのに。


 花梨と荘助のことは、基本的に静観の方針でいこうと思います。

 すぐ近くにいるみんなが行動に移していないし、私が危惧するほどのことは起こっていないのでしょう。それでも私で力になれる事態が起これば、すぐに連絡が欲しいです。協力は惜しみません。


 それに花梨のことだから、なにか企んでる気がするのよ。すぐじゃないだろうし、いつになるかわからないけど、絶対やらかすと、そんな気がします。――あ、だめ。どう転んでも荘助が哀れだわ。荘助のフォローも、どうかよろしくお願いします。



 それでは、また。



  5月30日

   師村 雅美 』


春日 渥美・幼なじみの中では実行班だけど傍観者。・常に一歩ひいてみてるところがある。・冷静だけど情に厚い。・気難しいところもある。・こんな名前ですが、男です。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ