御迎え
とある病院に一人の男性が受付で今日重症患者として運ばれた女性の病室はどこだと訪ねた。
受付の人物は面会時間が過ぎていたため断ったが、それでも諦めない彼の気迫に押され教えてしまう。
彼は教えてもらった病室まで静かに走って行った。
彼が見えなくなった時、緊急用の電話が鳴り響いた。
それは交通事故で重症を負った男性患者を引き受けられる病院を探す電話だ。
現場から一番近い病院らしいので引き受ける事にした。
最悪、手術になるかもしれないというかなり危ない状態らしい。
患者が病院に到着し、慌ただしく運ばれる。
男性を運ぶ医師や看護師から、心肺停止、血圧低下など危険な状態だと分かる内容の話が聞こえる。
そして緊急手術が始まり、手術中のランプが消えるまで一時間も経たなかった。
心肺停止の状態で運び込まれ、内臓器官へのダメージも大きかったため助からなかったようだ。
亡くなった男性が運ばれ、受付の前を通った時、顔に掛けられていた白布が飛んだ。
すぐに直されたが、受付の人物は見覚えがあった。
それは、重症の女性患者の病室へ向かった男性と似ていたのだ。
―――直後、彼の向かった病室の女性が息を引き取った。