37回中34回
「マジでごめんて、許せ!」
「いいえ、今日という今日は許しませんよ!いったい朝の会議さぼるの何回目ですか!?」
「んー・・・何回目?」
「今年に入ってもう34回目です。だいたい朝の会議は今年まだ37回しか行われていないのに、まともに陛下がいたのは3回だけです。毎回すっぽかされるこっちの身にもなってください。」
37回中34回サボりって・・・美人さんが怒るのもしょうがない気がします。
先程の飛び蹴りをかわしてくれたことで回復した男の好感度がまた一気に下がりました。
私だってこんな奴が上司だったら飛び蹴りしてヘッドロックかまします。
「今日はちゃんと出るつもりだったんだよ。だけど、ほら。」
あっ・・・。男が突然私を前に差し出したので、初めて美人さんと目があいました。
視線が痛い。美人だからなおさら痛いです。
「・・・陛下、今すぐ元いたところに返してきなさい。城では飼えませんよ。」
お、お母さん!まるで捨て猫拾ってきた子供を叱るお母さんです。
おもわず、「お母さん!」って言いそうになりました。危ない危ない。
「違うって!こいつの瞳よーく見てみな。」
男にそう言われて、渋々といった感じで私を覗き込む美人さん。
しばらく見つめあうと首をかしげたので、私も首を傾げてみました。
「・・・赤い?この者は魔のモノですか?初めて見ました。」
「100年くらい前に人間どもに乱獲されて絶滅したのがいただろ?それの白いのバージョンだな。」
「確かにおりましたが、絶滅しましたよね。突然変異の生き残りですか?白い魔のモノなんて初めてです。」
「泉にいたんだ。おそらく生まれたばかりだろう。」
「泉に!?それで、気配を感じて様子を見に行かれたのですね。」
「ああ、泉のそばでボーっとしてたところを発見した。こいつの思考が全然読めなくて手間取ったんだ。」
「ええっ!?読めないなんてことあるんですか?」
「なぜかはわからん。おまけに一言もしゃべらないんだ。」