夏の白昼夢
風鈴の音って耳障りじゃないですか?
皆さん、風鈴って好きですか?夏になると花火や浴衣、蝉の鳴き声と同じように思い浮かべるものの代表ですよね。でも、私は風鈴の音が嫌いなんです。硬質な高い音がどうにも耳障りで……。見た目は涼やかでとても美しいのに本当に残念なんですけど……。
ああ、こうして話していると思い出しちゃいますね。夏休みに祖父母の実家に遊びに行った時のことなのですけど、なんだか変なものを見てしまって。これってあるあるだと思うんですけど、古い家って未だにぼっとん便所だったりしますよね。私、小さな頃その真っ黒な穴に変なもの見ちゃったんですよ。
穴の中にね、人が居たんです。正確に言うと私が今いるのとよく似た世界が見えたんです。路地を人が歩いていて、お店があって、そこに風鈴をたくさん付けた屋台も見えていて。それがまた五月蠅くて仕方ないんです。たくさんの風鈴が風に吹かれてリンリンリンリンて。
一つなら綺麗な音かもしれませんけど、あんなに沢山あると五月蠅いばっかりですよ。聞いているうちにイライラしてきて、ぼっとん便所のドアを閉めて開かないように蝶番に接着剤を塗りたくったんですよ。まあ、無駄でしたけどね。
親からは怒られてその日は不貞腐れて布団に潜りこんだんです。次の日にぼっとん便所の真っ黒な穴を覗いてみたら、別の世界なんて見えませんでした。なんだったんでしょうね、あれ。ただ、なんとなくあの日から風鈴の音が嫌いなんですよ。耳障りで仕方ないんです。
誰かはこんな体験してそうだなーと思いながら書きました。




