6月第1週 政治・経済重大ニュースベスト5【国防費 韓国大統領選挙 生産調整 少子化 日本郵便】
『 』の中が記事の引用、⇒ 以降に僕の意見が書いてあります。
どうぞご覧ください。
第5位 『NATO国防相会合 国防費 GDPの5%に増やす案に幅広い支持』
NHK6月6日の記事より
『NATO=北大西洋条約機構の国防相会合がベルギーで開かれ、NATOのルッテ事務総長は、アメリカの主張を受けて議論した加盟国の国防費などの割合をGDP=国内総生産の5%に増やす案に、幅広い支持が得られたと明らかにしました。
アメリカのトランプ大統領が加盟国に対して、GDPに占める国防費の割合を5%まで引き上げるべきだと主張するなか、NATOの国防相会合は5日、ベルギーの首都ブリュッセルにある本部で開かれました。
会合では、アメリカの主張を受けてNATOのルッテ事務総長が提案した、加盟国に対して国防費などの増額を求める案をめぐって意見が交わされました。
ルッテ事務総長の提案は、加盟国のGDPに占める割合を国防費は3.5%、インフラ整備などの国防関連費用は1.5%の、あわせて5%とし、2032年までに引き上げるという内容です。
会合のあとの記者会見で、ルッテ事務総長は「加盟国は増額の必要性を理解している。われわれはロシアの脅威と、中国の軍事力の増強に直面している」と指摘し、加盟国からは幅広い支持が得られたと明らかにしました。
ルッテ事務総長は、今月下旬にオランダで行われる首脳会議で、提案の最終的な合意を目指していて、今後、増額を達成する時期などをめぐり詰めの協議が続くものとみられます。』
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日本の現在の「防衛費2%」と言うのも2020年当時の欧州防衛費のGDP比率を基準に決まったという背景があります。
つまりこの「5%にする」というのは長期的に見れば日本にも影響を及ぼすと言う事を意味しています。
防衛費の増額で、自衛隊の待遇の改善や自国での防衛する能力が上がれば良いのですが、1%から2%に上がった際には「アメリカ製の武器を買う」ことが大きなパイを占めました。
更に防衛費に対して「増税を行う」ことが将来的には決まるので「現状の8.7兆円から2.5倍が増税される」と言うことにも国民側としては対策をしていく必要があるという事です。
第4位 『出生数70万人割れ、国の推計より14年早く 社会保障制度に暗雲、背景に若者の経済不安』
産経新聞6月4日の記事より、
『令和6年に生まれた子供の数(出生数)が国の推計よりも14年も早く70万人を割り込み、急速な少子化の進行が改めて浮き彫りとなった。背景には経済的な不安で結婚や出産に踏み切れない若者が増加している現実があり、専門家は若者の経済状況改善を訴える。
国立社会保障・人口問題研究所(社人研)が令和5年にまとめた将来推計人口(中位推計)は、6年の日本人のみの出生数を75万5千人と見込んでいた。初めて70万人を割り込むのは、2038(令和20)年の69万2千人になるとの想定だった。
日本の社会保障制度の多くは現役世代が支払う社会保険料で賄う「賦課方式」を採用している。このまま急速に少子化が進行すれば、現役世代の負担増加に留まらず、社会保障財源が逼迫し、制度自体の持続性も揺らぎかねない。
加えて、少子化傾向の反転への時間的猶予もない。現在、結婚適齢期を迎えている1990年代生まれの出生数は120万人程度で安定していたが、2005(平成17)年に110万人を割り込み、2016(平成28)年には100万人を下回るなど、今後適齢期を迎える世代の減少が予想される。
政府は「2030(令和12)年までがラストチャンス」と危機感を強めるが、反転攻勢に向けて有効な手は打てていない。
女性1人が生涯に産む子供の推定人数「合計特殊出生率」も、1・15と過去最低を更新した。背景には経済的不安で結婚や出産を諦める若者の増加がある。日本総合研究所の藤波匠上席主任研究員は「低所得層ほど子供を持てない。最低賃金を引き上げるなど、これから結婚、出産を迎える若者の経済状況を改善することが急務だ」と訴える。
藤波氏は都市部だけでなく、地方でも出生率が低下しているとも指摘する。夫婦がともに働いて家計を支える形が一般的な家族の在り方となっているが、地方に優良な女性雇用が少ないことが影響している。藤波氏は「地方でも女性の雇用の在り方を見直していくことが求められる」と述べた。』
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3年連続実質賃金減少。今年に入って発表された4月も1.8%減少で1月~4月まで4カ月連続で実質賃金が減少(上がっている月はボーナス支給月のみ)しています。
特に中小企業において「賃上げ」は限界水準まで来ているとは思うのですが、
それにも関わらず手取りが増えていないのはこれも全て税制又は社会保険制度が狂っているということを示唆していると思います。
このような状況では少子化が加速するのは必然であると考えます。
経済財政諮問会議が6月6日に開催され、経済財政運営と改革の基本方針(骨太の方針)の原案が決まりました。
そこでは「持続的・安定的な物価上昇の下、日本経済全体で1%程度の実質賃金上昇を定着」とありましたが、現状では実現が難しく「絵に描いた餅」と言えます。
特に破綻していると言っていい年金制度を持続させることは無意味に近く「持続性も揺らぎかねない」では無く「持続させる必要が無い」と言えると思います(国民年金給付に25兆円、厚生年金給付に年間31兆円かかっている。社会保障費全体で130兆円のため割合も大きい)。
そして自己積立制度又は自分で積み立てる制度にするまでのこれまで払い込んだ方に対する支払いの移行期間は「政治の責任」として国債で発行して賄うべきです。
こういった議論をする気も無い政治家には本当に辟易します。
第3位 『コメの「生産調整」、政府が見直しへ…農家の経営難防ぐため「所得補償」新設も検討』
6月6日読売新聞の記事より、
『政府はコメの価格高騰を受け、必要な生産量確保のため、事実上の減反にあたる生産調整を見直す方針を固めた。米価下落で農家が経営難に陥る事態を防ぐ観点から、新たな所得補償の実施も検討する。政府は5日、「米の安定供給等実現関係閣僚会議」の初会合を首相官邸で開き、価格高騰の原因究明や今後の農政改革に向けた議論に着手した。
複数の政府関係者が明らかにした。生産調整はコメの値崩れを防ぐ目的で行われてきたが、一定程度の緩和か撤廃を目指す。減反政策は2018年産米から廃止されたが、農家はその後も政府が示す需要見通しに沿った生産を続けており、事実上の生産抑制が続いていた。
コメの増産は米価下落につながることから、所得補償制度の新設もセットで検討し、継続的な営農を可能にする体制を整える。農家の手取りが生産費を下回った場合、差額を補償する仕組みなどを想定している。
石破首相は農相時代の09年、生産調整の緩和と所得補償による農政改革を訴える論文を執筆しており、周囲に「考えは変わっていない」と語っている。
関係閣僚会議は首相が議長を務め、林官房長官、小泉農相らで構成する。首相は初会合で「消費者に安心いただける価格でコメを提供するとともに、持続的な農業生産によりコメの安定的な供給を実現することが必要だ」と強調した。
首相は会合で小泉氏に対し、コメの価格安定化や生産力向上など短期・中長期の対策の検討を指示し、中野国土交通相には備蓄米の円滑な流通を図るため、物流業者への働きかけを要請した。小泉氏は会合後、記者団に「(農家の)経営が脅かされない支援策、セーフティーネット作りも大切なテーマだ」と述べた。
閣僚会議では今後、コメの価格高騰の原因や一連の政府対応について検証し、流通の可視化などによる価格安定化への道筋を検討する。その上で、生産調整見直しなど中長期的な農政改革を議論する方針だ。先端技術を活用するスマート農業導入による生産性向上や、海外輸出での販路拡大なども論点となる。
政府は1年程度で結論を取りまとめ、27年度予算編成に反映させたい考えだ。』
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農家戸別補償は僕もずっと言い続けていたことなので議論が始まったことはまずは良いことです(即座に決めろとは思いますけど)。
しかし懸念点も多いです。本文中に『減反政策は2018年産米から廃止されたが、農家はその後も政府が示す需要見通しに沿った生産を続けており』とあるように、減反政策は廃止しながらも続いており、「補助金カットしただけ」と言う実情があります。
つまり、戸別補償が始まっても現在の保護などの制度を削ったりすればプラマイゼロ(若しくはマイナス)で意味がないと言えます。
また、当初は良い制度だったとしても今度は「米増税」などが懸念されると思います。
そして増税が完遂した段階で「随時戸別補償は減額」と言った流れや「農協解体して外資に売り払う」可能性もあるために細かく注視していく必要のある案件だと思っています。
第2位 『韓国 イ新大統領 安全保障や文化交流などで日本と連携強調』
NHK6月4日の記事より、
『韓国のイ・ジェミョン(李在明)新大統領は、就任後初めての記者会見を開き、安全保障や文化交流などで日本と連携していく考えを強調したほか、前の政権が解決策を示した「徴用」をめぐる問題については、政策の一貫性が重要だという認識を示しました。
4日朝に就任し、5年の任期をスタートさせたイ新大統領は、午前中、国会で就任の宣誓を行いました。そして、国民に向けた演説で、「分断の政治を終える大統領になる。国民の統合をエンジンとして、この危機を克服していく」と決意を示しました。
午後には大統領府で就任後初めての記者会見に臨み、日韓関係についても質問を受けました。
イ新大統領は、歴史問題や、韓国が「トクト(独島)」と呼んで領有権を主張する島根県の竹島について触れ、「両国はそうした問題があっても、さまざまな面で共通の利害関係を持っている。経済や安全保障、文化交流など双方が互いに役立つことを探していけると思う」と述べました。
ユン・ソンニョル(尹錫悦)政権が解決策を示した「徴用」をめぐる問題や慰安婦問題については、「国家間の関係は政策の一貫性が重要だ。国家の政策を個人的な信念で一方的に強要したり貫いたりすることは容易ではない」と指摘しました。(長いため後略)』
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ユン前大統領の「非常戒厳」からの“事件“は約7カ月の政治的混乱や闘争を経て一応は着地を見せました。
会見ではイ新大統領は『実用外交』を掲げているので、日本に問題を強く追及する場合には、マイナスの効果が出る可能性があると思い当面は「反日政策封印」することが予想されています。
しかし、イ新大統領には公職選挙法違反や市長時代の都市開発事業を巡る不正などで計5件の裁判を抱え、他2つで有罪判決を受けています。
そのために大統領在任中は裁判を停止することを明文化した刑事訴訟法改正案を直ちに提出することにしているようで、このことからあまりにも独裁的と言う批判が増え、支持率が急落する可能性もあります(そもそもユン前大統領の最後が酷すぎたから相対的に当選しただけの可能性も……)。
支持率が下がると特に「共に民主党」の大統領は「反日政策」にシフトしがちなるんですね。スキャンダル判決やこれに関する法案でどうなるかが実は日韓関係で重要なのかもしれないなと個人的には分析しています。
第1位 『ゆうパックにも影響か 日本郵便の運送事業許可取り消しへ 国交省』
6月5日毎日新聞の記事より、
『集配業務を担う全国の郵便局で点呼が不適切だった問題で、国土交通省は5日、日本郵便に対し、バンやトラック約2500台による貨物運送事業の許可を取り消す行政処分案を通知した。許可取り消しは、貨物自動車運送事業法に基づく最も重い処分で、大手事業者に出されるのは極めて異例。
国交省は、日本郵便から処分案についての意見を聞く聴聞を18日に実施した上で、6月中にも正式に処分を出す。同社は5年間、自社のバンやトラックなど約2500台を動かせなくなり、ゆうパックなどの配送に一定の影響が出る見通しだ。
日本郵便は「社会的インフラを担う運送事業者として存立に関わる重大な事案。お客様や事業への影響を精査し、具体的な対応を速やかに検討する」とコメントした。林芳正官房長官は5日の記者会見で「輸送の安全の確保を揺るがしかねず、極めて遺憾だ」と述べた。
国交省がトラックなど一般貨物自動車を扱う全国119郵便局を調べたところ、82局で法令違反を確認した。違反した局では、飲酒の有無を確認していなかったり、点呼をしていないのに実施したとする虚偽の記録を作成したりしていた。関東運輸局の管内だけで、累積の違反点数が許可取り消しの基準を超えたという。
関東運輸局管内で許可の取り消しが確定すれば、日本郵便の全体に効力が及び、全国の郵便局で営むバンやトラックでの配送事業が取り消しの対象となる。許可が取り消されると、5年間は許可の再取得ができなくなる。
約3万2000台ある同社の軽バンは許可制ではなく届け出制で、今回の処分の対象外だが、郵便局ごとの車両停止処分を検討している。主に郵便配達で使われる原付きバイク約8万3000台は、貨物自動車運送事業法の対象外となっている。』
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国土交通大臣は今回の取り消しで影響が出ないようにするべきだと述べていますが、
流通経済大学の矢野裕児教授は2500台の車両が使えなくなる場合の影響について「幹線道路と郵便局を結ぶ車両が対象となる可能性が高いので、今後、物流が相当停滞する可能性があり、全体に与える影響は大きい。代替するとしても物流ドライバーが不足する中、簡単に集まるのかという問題があり、繁忙期には相当厳しい状況になるのではないかと思う」と指摘しており厳しい様相です。
このことから、日本全体の郵便が届かなくなるという直接的な影響が出るレベルの大問題だと思います。
飲酒の有無や点呼は物流業界の基本的な所作です。それをやっていないのは問題外で、組織的に腐り続けていると言えると思います。
郵政民営化して20年ほど経ちますが商品が向上したり、経営が改善したり、コンプライアンスが改善するわけでもないことを示していると思います(むしろすべて逆の現象が起きている)。
経営改善、業務改善をしたいのなら民間コンサルタントを入れればいいだけだと思います。
電気、水道、ガス、通信ここら辺は再公営化を行い国民負担を軽く済寮な方策を取るべきです(むしろ利益を出し過ぎな分野も多くその分は日本国民が事実上の公営企業に搾取されている)。
いかがでしたでしょうか? 今週は「密かに重大」と言う案件が多かった気がします。
郵便問題については個々人にも影響するために1位とさせていただきました。
しばらくは郵便についてはなるべく日程に余裕を持って早く出した方が良いように思います。