99.ジュリオ、愛を叫ぶ。
朝の騎士団本部。
「……じゃあ、また今夜な」
「う、うん……ライ……」
(ほっぺにキス)
ミーナの声は控えめだけど、尻尾ぶんぶんのライグルは全然隠す気がない。
「はーーーいはーーい!!朝っぱらからいちゃつかない!!!」
ジュリオは二人の横を通りすがりながら、盛大にため息をついた。
(つーか……あの二人、マジで最近距離感バグってない!?)
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食堂にて。
ミーナに水を渡して、にっこり。
「水、足りてるか? 昨夜の続きは――」
「聞こえてるんだよ!!!なにが“昨夜の続き”だあああああ!!」
ジュリオ、ついにテーブルを叩く。
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その日の夕方。ジュリオは一人で頭を抱えていた。
(セリアの縁談話はどうなったんだ?あれからなんの音沙汰もねえ。それに、俺、まだ……ちゃんとセリアに気持ち伝えてねぇ……)
(手も握ってねぇ……いちゃつきも、してねぇ……!)
思い浮かぶのは、ちょっと照れくさそうに笑うセリア。
時々腕を組んでくる、ふわっと甘える声。
けれど、ジュリオはまだ“決定的な一歩”を踏み出してなかった。
(……くそっ!セリアがお嫁にいっちゃうとしても...)
(最後に当たって砕けろだ!!!)
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セリアは屋敷の中庭で、細かい刺繍の仕上げに集中していた。
目の前には、完成間近のハンカチ。淡いピンクに小花の模様。
そこへ、足音が一つ。
「……セリアちゃん。ちょっといい?」
顔を上げると、ジュリオが立っていた。
騎士服は少しラフに着崩し気味。けれどその表情は真剣そのものだった。
「うん。どうかしたの?」
セリアが刺繍枠を置くと、ジュリオはそっと隣に腰を下ろした。
「この間のこと、ちゃんと言えてなかったなって思ってさ」
「この間のこと?」
「……あのクソ...バルトを殴り倒したとき、色々叫んでたろ?
“セリアちゃんに一途”とか、“大切なんだ”とか。
……あれ、たぶん、全部本音なんだけどさ」
セリアは少し目を見開いたまま、黙って彼の話を聞いている。
「でも、ああいう場面で言うのって、ズルいだろ。
だから、ちゃんとした言葉で伝えたいと思って――今」
深呼吸一つ。
「俺……セリアちゃんのことが好きだ。
可愛いとか、気になるとか、そんなのは前からずっとだったけど。
今回、セリアちゃんを攫われて、(殺されかけたって知ったとき――)俺の心臓が冷たくなった。死ぬほど怖かった」
俺は、ぎゅっと拳を握る。
「だから、誤魔化したくないって思った。
セリアちゃんがいいなら……縁談、考え直してくれないか.....?俺を選んでほしい.....」
一拍の沈黙。
「……“ちゃんと”って、ジュリオにしてはずいぶん気合い入ってるのね」
セリアがくすっと笑う。
その表情は、涙が浮かぶほど嬉しそうで、でもちょっとだけ意地悪そうでもあった。
「……じゃあ、こっちもちゃんと答える」
セリアは、ジュリオの手に自分の手をそっと重ねる。
「私も、ジュリオが好き。あなたが助けに来てくれて、本当に嬉しかった。
前から、軽い人だなって思ってたけど……今回、見直したの」
「……まじか。いや、ちょっと泣きそう……!」
「泣いたら笑うわよ」
「ちょっと待って?縁談は..!?」
「ふんっ、そんなのとっくに解消したわよ!怒」
「それに、、あんたこの前から素。出てるわよ。」
(真剣な時には、セリアちゃん、じゃなくて、無意識にセリアって呼んでるでしょ?)
「え、えぇっ?」
「セリア、って呼んでもよくてよ?」
そう言って、二人はふっと笑い合った。
「セ、セリア?」
ジュリオが呼びかけたその瞬間――
セリアがふわっと胸に飛び込んできた。
「……もう。遅い!!俺を選べ!って早くいいなさいよっ……!」
「わ、わーった!俺が悪かったってば!」
「今から取り返す!いちゃつくぞ!」
「ば、ばか!!照」
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そうして、ようやく“両想い”になった二人。
廊下の影から、それをじっと見つめる男が一人。
「………………」
(無言の威圧)
ヨナス=マークレイ
セリアの兄。激甘&過保護仕様。
「おい、ジュリオ」
「妹に手を出すなら、責任、取る気はあるんだよな?」
ジュリオ、背筋ピーーーン!!!
「ッス!!もちろんスッ!!全力で!!一生大事にしますスッ!!」
「当たり前だ、セリアを泣かせたら...わかってるな?」
「はいぃっ.....!!」
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ラブラブにはなった。
なったけど、当面ジュリオの寿命は兄の監視で減り続けることになるらしい――
(ヨナス曰く「君が“妹の幸せ”で死ぬなら、本望だろう?」)
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次の日、ジュリオの様子がどこかおかしい。
部下A「副隊長……めっちゃニコニコしてね?」
部下B「なんか、バラの香りがするんだが……?」
部下C「……まさか、彼女できたとか?」
ジュリオ(ドヤ顔)
「まあな!俺もやっと、いちゃいちゃ組に参戦だーーー!!」
(後ろから気配)
「……あんまり調子乗ると、ヨナスさんに言うよ?」
「ごめんなさい今の取り消しで!!」




