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その獣人騎士、無自覚に私を甘やかしすぎです!  作者: 緋月 いろは
5章.蜜と毒の幕開け

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82.俺..なんかした?(ジュリオ視点)

狼がミーナの部屋に入り込んだ数日後。

騎士団のいつもの朝、なんとなく顔を出した食堂。



(……あれ?)


なんとなく視線を感じて、そっと振り返る。

いた。セリアちゃんの兄、ヨナス=マークレイ。



(あれ? なんでここに?)



商人ってのは分かってたけど、こんな早朝に来る用事ってあるか?

しかも、明らかに……こっち見てる。



いや、気のせい──じゃない。完全に目が合った。なんかすごく目が合った。



(……俺、なにかやらかしたか?)



思い返してみるけど、セリアちゃんに失礼なことは……うん、多分してない。はず。いや、してない!



けど、そのあとも廊下ですれ違えば、



「……ああ、副隊長殿か」

「っ!? あ、どうも!」



なんか妙に低い声!

しかも“副隊長”ってわざわざ強調した感じ!



その日の昼には、外でバッタリ出くわして、



「……仕事中か?」

「い、いえ、今は休憩で……っす」


「……ふうん」

(……なんだその“ふうん”って!?)



別に何か言われるわけじゃない。

でも、目が合うたびに心がざわつく。

というか、圧がすごい。ずっと“品定めされてる感”がある。



(……これ、完全に監視されてるよな?)



何があったのか、何をしたのか。思い当たる節がないぶん怖い。



(てか、セリアちゃんは普通にいつも通りなんだよな……)



廊下で声かければ、「あら、今日はいい天気ね、ジュリオ?」なんて、相変わらず強気で爽やか。



(……あの笑顔で、俺がこんなにビビってるの、全然気づいてないよなあ)



もういっそ聞いてしまおうか。「あの、お兄さん……何かご立腹ですか?」って。



けど、セリアちゃんの兄だし、下手なこと言ったら後が怖い。



(ていうか、俺……なんでセリアちゃんのお兄さんに、こんな気を遣ってんだろ)



──気づけばまた、ヨナスの視線が背中に刺さる。



(うう……やっぱ、無理だわ……絶対あの人、“妹を守る鋼の兄”だ……)



内心でビビりつつ、何食わぬ顔で微笑み返した。


でもその笑顔がどこか引きつっていたのは、きっと気のせいではなかった──

ジュリオはビビりです。

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