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その獣人騎士、無自覚に私を甘やかしすぎです!  作者: 緋月 いろは
4章 日常と秘密

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54.頑張れジュリオ

―――その日の夜


コンコンッ

私はセリアさんの部屋を訪ねた。



シャワーから上がったばかりだったのか、簡単なワンピース姿で、濃い紫の髪がまだ少し濡れている。その姿がどこか大人っぽく、とても素敵だった。



「セリアさん、夜にすみません。ちょっと相談したいことがありまして…」と声をかける



私は、図書館で調べたこと。東方の国シュエンでは、お米が主食で、醤油と味噌も恐らくある。実家の商家を通して買えたりしないか...

相談してみた。




「うん、いいよ。ついでに実家に頼んでみるね、兄に手紙の返事返さなきゃいけないし……」



「ついでに?なにか用があったんですか?」

いつも快活な印象のセリアさんが、言葉を濁すなんて…まさか!うちみたいなクソ家族なの?)



 「実は、兄から手紙が来てて……最近返事してないんだけど、また“縁談”の話でさ。しかも今回は、“一度会ってみては?”って」



「貴族で、温厚で、悪い人じゃなさそうって。でも……そういう問題じゃないのよね」




「え、縁談ですかーーー!?」

(ミーナさんは私より2個上の19歳。確かに、縁談が来ておかしくないころだ)



「うん。もし受け入れたら、仕事も辞めて引っ越すことになるし…ちゃんと断らないとって、思ってるけど」



「あ、あの、、ジュリオさんは知ってるんですか?」



「……言ってない。関係ないでしょ、あいつには」

そう言いながら、セリアさんはちょっと拗ねたように顔をそらした。




(いや、関係あるからね!?めちゃくちゃあるからね!?……ジュリオさん、まじでやばいって!!)




私は心の中で警報を鳴らした。―――これは、もう緊急事態だ。




―――翌日



廊下の隅。人目を避けて、私はジュリオさんにこっそり耳打ちしていた。



「だ、か、ら……縁談ですよ、え・ん・だ・ん!!」



あまりの衝撃に、ジュリオさんの頭は混乱しているらしく、口を開けたまま固まっていた。



「え、縁談?えんだん? って、誰の!? セリアちゃんが!? で、相手って誰!!?」



「だから、“貴族の温厚な人”って……セリアさんが言ってましたってば!!」



「マジーーーー!!??」



廊下にジュリオさんの絶叫が響いた。近くを通りかけた団員がギョッとして振り返る。



「で……ミーナちゃん……相手の名前、わかる?」



ジュリオさんが、いつになく真剣な顔で私に聞いた。



私は小さくうなずいて、セリアさんから聞いた名前をそっと耳打ちする。


「ルドルフ……です」



「……調べる」



ジュリオさんの瞳が、いつになく真剣になり、空気が変わった。



きっと...大丈夫だよね?ジュリオさん。



私はその背中を祈るように見送った。

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