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その獣人騎士、無自覚に私を甘やかしすぎです!  作者: 緋月 いろは
4章 日常と秘密

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51.おねだり

治安悪目のライグルが書きたくて

――― ライグル隊長執務室


「おじゃましまーす♪」



レオが軽やかに扉を開けると、そこにはすでに椅子の苔と化したライグルがいた。最高にじめじめしている。



「……またおまえか」



その瞬間、空気がピリついた。



「……よォ、なんでミーナの匂いがする?ずいぶん馴れ馴れしいんだな、おぃ……」




「やぁやぁ、やきもちかい?ライ 」



レオは悪びれもせず、ニコリと笑ってみせる。

(ライ?って...やっぱり仲良し?なんか偉そうだし...というか家族?てことは親戚のお兄ちゃんとか..?)



「あ、あのっ、すみません!」



ミーナが発言した途端、固まってライグルがパッと顔を上げた。眩しいくらいの笑顔であるが、ミーナの出現に驚いている。



「!!ミ、ミーナ?」



アハハハハ 腹を抱えて笑い出したレオさん。

ライグルさん――その目は獣のように鋭く、レオを睨んでいた。



「ッチ、、レオ(アレク)テメェ、帰れ..」



「……はいはい、こわいこわい。ミーナちゃん連れてきただけだから、そんなに睨まないでよ」



「わかった。おまえは、もう帰っていい」



「ひどいなあ、ちょっとは感謝してくれても――」



「……三秒で出てけ。じゃなきゃ、噛むぞ?」



低く唸るような声に、レオは肩をすくめる。



「……ふふ、こりゃもう“わんこ”っていうより、“オオカミ”だね」



「……!」



ミーナが割って入るように、お弁当を差し出す。



「は、はいっ! これ、今日作ったんです。約束だったので……ライグルさんの分です!」



空気が張りつめたままの中で、ライグルが包みを受け取り、ゆっくりと開く。



中身は――

ぎこちない卵焼き。ウインナー。うさぎ型のりんご。

そして、主役の塩むすび。



しばし無言のまま見つめていた彼は、下を向いて俯いて小刻みに震えている。

(お、怒ってる?)



「……んぐっ、、これ……俺に?」



「ご、ごめんなさい……時間なくて、簡単なものしか……子どものお弁当みたいになっちゃって...」



「……いいや、最高ボソッ



顔を上げたライグルさんは、頬を染め、耳まで赤かった。眉間を抑えて上を向いて..え?泣いてる?



レオがまた隣で大爆笑している汗。

「ライ....チョロい………」



ライグルさんはは無言のまま、ぐいとレオの肩を掴み、扉の方へ引っ張った。



「ちょ、ちょっと、雑ッ……! こら、服がしわになるっ!」



「出てけ。あと、次からミーナに近づくな」



「へーへー……怖い怖い。独占欲、だだ漏れじゃん」



レオは笑いながら出ていく。扉が閉まる音が響いた後


――


執務室に、静寂が戻る。



「……ミーナ」



「あ、はい……?」

(あ、なんかすごい見られてる?照)



ライグルは弁当を手にしながら、ミーナの手を引き、応接ソファに座らせた。



「すげぇな、これ」

言いながら、ミーナの隣に腰掛ける。



「えっ?」

(ち、近いっ!)



「……俺のためだけに、時間使って。わざわざ、こんなもんまで……」

(えっ、なんか今日ちょっと治安悪目じゃない?ライグルさん。主に言葉使いが、、!いつもとのギャップがたまらなくもないけど…!)



「……っ。だって、ライグルさんが……」



「嬉しい」



言葉をかぶせるように、ライグルが微笑んだ。



「焦げてるし、子どもみたいな見た目だけど。……ありがとうございます」



「……初めて。

“誰かが俺のために作ってくれた”ってやつ。……こんなに嬉しいとは思わなかった」



そっと、箸で卵焼きをつまみ、口に運ぶ。



「……うま」



「す、すみません、砂糖多かったかも」



「いや……ちがう。“幸せ”って、こういう味なのかなって」



ふわりと笑うライグルの顔は、子どものように幸せそうで――



「ミーナ」

 


「……はい?」

(だから、ち、近いって!)



「ありがとう。。

この前の、なんでもお願い聞いてくれる。ってお願い..覚えてる?」



「は、はいっ...!照」



「じゃあ、お願い....あの髪飾り...つけてくれる?」



赤くなるミーナの髪をそっとなでながら、彼は優しく囁いた。

(やばい、なんか獲物になった気分...ライグルさんが拗ねてデロ甘になったーーー!!)



これって、好意、、だよね?さすがに?



「は、はいっ....」

やっとのことで返事をしたが、脳内は忙しなく。厨房に帰った時は、真っ赤で、色々と燃え尽きていた。



―――――



扉の外


レオ

「うわ、ほんとに噛まれたらどうしよう…笑。実は俺も弁当作ってもらったんだよね♪……まぁ、これは黙っておいてやるか…よかったな、ライ……」


アレクとライグルはいとこです。ライちゃんはヤンデレ風味でしょうか...苔になり、嗅覚がバグるライグル。

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