47.おむすび爆誕
炊き上がったばかりのご飯を、私は少し冷ましてから、手に取りやすい量を器に移した。
一口食べただけで幸せになる味――この美味しさを、誰かにも伝えたくなる。
そうなると…………
「まずは……塩おむすび、ね」
布巾で手を拭き、塩を少し指に取る。炊きたてご飯を手のひらにのせて、形を整える。
ぎゅっ、ぎゅっと、やさしく、でも崩れないように。
三角の形は……ちょっと難しい...少し丸めなっても味がある…ということで…
(米は食べたいけど、料理が得意ってわけじゃないからなぁ私……残念)
「よし、いい感じ!」
表面に軽く塩をふり、完成だ。
自分の試食用に一個、横で様子を見ていたマイルズさんに一個、セリアさんに一個、まずは3つ作ってみた。
一個目、自分の試食用を食べてみる。
素朴だけど、白いご飯のうまみがしっかり味わえる…
!美味しいっっ!!
「どうだ?俺も食べてみていいか?」
マイルズさんが横から声をかけられる。
「はい!!ご試食お願いします!」
(料理長のお口に合うかな…………ドキドキする…でも
きっと美味しいはず)
「うん、、美味い。あの白い粒がなぁ、、調理法でこんなに変わるとはな……」
(よっしゃ!マイルズさんから美味しい、いただきましたーー!!)
セリアさんも、まさかあれが?美味しいなんて。と驚きながらも美味しいと食べてくれた。
「なにこれ……こんなにシンプルなのに、すごく美味しい……!あっ、でも手がちょっと塩っぽい。布巾どこだっけ?」
(うーん……確かに!直接手で握ると衛生面が気になるし、保存にも不便……持ち運びも考えて....あ、そうだ。油紙か晒し布、それとも葉っぱ?で包めば、簡易的な“ラップ”代わりになるかも?これは要検討ね…
それから、せっかくだし、具入りも試してみようか)
「マイルズさん、この中に何か具を入れても美味しいです。」
「具?」
「あ、、例えば、、あの魚の干物と、そこの残り物、、少し使ってもいいですか?」
調理場の片隅には、保存食用に干された川魚の干物が吊るされている。細身の魚を開いて塩を振り、軽く炙ったものだ。
「あぁ。かまわない」
「ありがたく、使わせていただきます」
干物は少しだけ炙り直して、骨を取り除きながら、指先で丁寧にほぐす。
少しだけ焦げた香ばしさと、凝縮されたうまみがふわりと立ちのぼる。
(やっぱり、、これは、ご飯に合う)
次に目をつけたのは、昨日の煮物の残り。
根菜と一緒に煮込まれた鶏肉の切れ端が、まだ残っていた。これも、味がしっかり染みていて、もったいないくらい。
煮汁をきって、細かくほぐす。こちらは少し生姜の風味が残っていて、アクセントになりそうだ。
「じゃあ……二種類、作ってみよう」
再びご飯を手に取り、今度は真ん中をくぼませて、具を包む。
ひとつは干物。もうひとつは煮物の肉。
ぎゅっ、ぎゅっ、と心を込めてにぎる。どちらも、さっきの塩むすびより少しだけ小ぶり。
でも、一口目で具に辿り着くよう、口に入れたときに驚いてもらえるような、そんな仕掛けが詰まっている。
「完成……!」
干物のおむすび3つ、肉のおむすび3つ。並べて、器にのせる。湯気が立つそれは、どこか懐かしい、旅の途中の昼食みたいだった。
海苔があればな〜と思ったけど、そこも追々!
私とセリアさん、マイルズさんで実食だ。
干物のおむすびは、噛むごとに香ばしさと塩気がじわじわ広がる。ちょっと硬めの食感もまた、いいアクセント。
一方、煮物のおむすびはふんわりやわらかく、じんわりと広がる甘辛さと生姜の香りが、どこか懐かしくてほっとする
「これは……あり、ね」
私たち3人は自然と目が合い、にっこり微笑みがこぼれた。
湯気と一緒に立ち上る香りは、厨房の外にまでほんのりと広がっていた。
次回、セリアのいるところに現れる、チャラ男登場です。




