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その獣人騎士、無自覚に私を甘やかしすぎです!  作者: 緋月 いろは
3章 じれじれ期突入

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34.ジュリオしばかれる

―――厨房裏の勝手口にて。


ジュリオは、セリアに呼び出されていた。


「ふへへ、ミーナちゃん初デート……隊長と二人っきり……いや〜、青春ってやっぱ眩しいなあ……お似合いだわほんと」


そんな呟きを背に、ひやりとした声が落ちる。


「――その話、詳しく聞かせてもらおうかしら?」


背中に氷柱が落ちたかと思った。

ジュリオの背を冷たい汗がつたう。


「……あれ? セリアさん? なんでそこに……その目、めっちゃ笑ってないッスね……?」


「ちょっと、来なさい?」


各してジュリオは連行された。



「ねえ、ジュリオ。あたし、昨日ミーナから“初デート服がない”って相談されたのよ。

すっごく緊張してて、不安でいっぱいだったんだけどね?」


「あー……あー…………」


「で? あんた? なんでその話を、あたしがミーナに言われるまで、一言も知らなかったのかな?」


(こ、こわ……声のトーン低いまま笑ってるのに、空気が氷点下……!)


「いや、あれはですね!? ほんとに、突然決まったことだったんスよ!? しかもその、ミーナちゃんも“誰にも言わないで”って……!」


「ふぅ〜〜〜〜ん……そうなんだ〜?

つまり、“誰にも言うな”っていうなら、私にも言わないで当然だと。

――なるほどねぇ。あたし達って、その程度の仲だったのねぇ?」


「うわ、ちょ、ちょっと待ってくださいセリアさん! あっ、今“私たちの仲”って言いました?ニヤニヤ そこんとこ、よく聞かせて?」


「何いってんのよ、バカっ!」


「そもそもねジュリオ、あたし、隊長とミーナの進展を誰よりも楽しみにしてたのよ?

それなのに、あんたが一番おいしいとこだけこっそり見てたってわけね?」


「いやいやいや! こっちだって勝手に巻き込まれただけッスよ!? 見たくて見てたんじゃ……でも確かにちょっとキュンとは……あっ違っ、そういう意味じゃなくてっ!!」


「そっか〜、キュンとしたんだ〜?」



「ふぅ〜ん? 私がいながら、ねぇ?」



「違っ、違うから! セリアちゃん怖い!!」



「……ふぅ。ま、許してあげなくもないけど。

代わりに、あたしの買い物バッグ運び、三回分ね?」



「……え、それってあのいつも重いアレじゃ……」



「もちろん、アレよ、アレ!そして、ミーナとライグルさんの進展については、今後報告よろしくね?

いい? 変な妄想入れず、事実だけを、逐語でね?」



「うっ……(逆らえん……!)」



――そしてその夜、隊員たちは目をこすりながら、ぐったりするジュリオを目撃する。


「……ジュリオさん、泣いてましたよね……?」


「セリアちゃん、俺は君だけが好きなのに……わかってくれたかな……でもさ、荷物運びはキツイわ……」



しかしこの二人も、まだ付き合っていないのである。

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