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その獣人騎士、無自覚に私を甘やかしすぎです!  作者: 緋月 いろは
3章 じれじれ期突入

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30.デートの約束

◆中庭、訓練後のひととき


数日後の訓練終わり、中庭で。

私はジュリオさんにそっと相談を持ちかけていた。



「え? セリアちゃんにプレゼント? へぇ〜……いい心がけじゃん」



「何がいいと思います? あまり高くないもので、ささやかでも気持ちが伝わるものがよくて……」



「うーん……セリアちゃんねぇ。あの子、髪結ぶの適当だからさ、リボンとかどう?」



「……リボン?」



「うん。きれいな色の一本もの。

意外とね、嬉しいとちゃんと喜ぶタイプだし。何より、似合うと思うんだよな」



予想以上に的確で、ちょっとロマンチックな助言に、私は感心してしまった。



(……ジュリオさん、ちゃんと見てるんだなぁ)



二人で笑い合った、そのとき——



「……何を話してる」



背後から、低くて鋭い声が割って入った。



「うわ、隊長!? って、なんでそんな怖い顔してんのさ」



「別に」



ちらりと私を見たあと、そっぽを向くライグルさん。

でも、耳がちょっと赤い。……たぶん気のせいじゃない。



「ミーナちゃん、お買い物行きたいって話だったから、俺が付き合おうかな〜って思ってたんだよね〜。隊長は忙しいでしょ?」



と、ジュリオさんがわざとらしく言う。



「……(ジュリオ、テメェ……)」

(あ、まずい。ライグルの背後から、黒オーラ出てる……ニヤニヤ)



「まぁでも? 俺、休み合わなかったから? おまえはどうだったかな〜? ね〜?」



「……合う。その日は休みだ。俺が行く」



思わぬ立候補に、私はぽかんとした。



「えっ……!? 私は一人で行くつもりでしたけど……?」



と言った瞬間——



「「えっ!? はっ?!」」



なぜか二人同時に驚かれた。

そのあと、しっかり説教をくらった。



「この前も絡まれたばかりでしょ!不用心すぎ!」


「護衛がついてないって、俺たちとしても問題だっつーの」


(……確かに、1人で行くのは不用心だったかもしれない)


耳にタコができそうなほど注意されて、私はちょっと肩をすぼめる。



(……セリアさんと一緒に行くのもいいけど、サプライズにはならないし……)



そんなとき、ジュリオさんがにやりと笑った。



「まあ〜? 隊長さんが日程空いてるっていうし? 心配だったら、2人で変装して行ってきたら?」



「変装! いいですね! そうします! ……ただ、ライグルさん、お忙しいのに本当にいいんですか?」



「……あ、ああ。護衛としてちょうどいい。変装も任せろ」



ライグルさんは少し照れたように言いながらも、きっぱり頷いた。



「ありがとうございます! では、その方向で!!」



解決法が見つかり、安心し嬉しくなった、私は笑顔で一礼して、駆け足でその場を去った。

(米、米、米が、食えるぞーーー!!)



──ぴょこぴょこ走る後ろ姿を、2人の騎士が見送る。



「……よくやった。ジュリオ」



「でしょ。……つーか、お前、日程空いてるとか言ってたけど、誰も決めてないよね?」



「…………それは、言うな」



(変装か……ミーナは、何色の髪でも似合うんだよな……)

(まあ……ミーナの美しさは、俺だけが知ってればいいんだ)



そう心の中でつぶやきながら、ライグルはそっと拳を握る。


「……よし。ミーナと、で、デートできる……!」


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