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その獣人騎士、無自覚に私を甘やかしすぎです!  作者: 緋月 いろは
1章 追放された伯爵令嬢と騎士団との出会い
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03.いざ面接

強面の圧迫面接!強面だけど気がきくギルバート(サブキャラ)

王都中央騎士団の寮裏手にある厨房棟――そこが指定された面接場所だった。



見慣れない場所、見知らぬ人たち、そして厨房から漂う美味しそうな匂い……思わず胃が鳴り涎を飲み込む。いやいやまずは面接だわ…!と堪えながら、私は建物の前に立っていた。



紹介状を握りしめ、誰かに声をかけるタイミングを測ってうろうろしていると、厨房へ繋がるであろう扉がガラリと開いた。



「……もしかして、募集見て来た子?」



そう声をかけてくれたのは、エプロン姿の若い女性。私と同じ歳か少し上くらいか。濃い紫黒の髪を片方にまとめ三つ編みにし、茶色い瞳が美しく、朗らかな笑みを浮かべている。



「はい、そうです。ミーナと申します。こちらに紹介状を…」



「あぁ、それなら料理長のマイルズさんに取り次ぐね。あ、私はセリア。厨房付き使用人をやってるの。ミーナ、よろしくね?」



彼女は手早く厨房の奥に消え、すぐに「こっちこっち」と私に手招きしてくれた。



セリアさんに従い、厨房の奥に進むと、料理長らしい

恰幅のいい中年男性。無愛想というより、職人気質がにじむような厳しそうな雰囲気の方と引き合せてくれた。



「料理長のマイルズだ。募集を見てきたのか?住み込みで働きたい?とりあえず、皮むきでもしてみな。そこの山、頼んだぞ」



「はい!!ありがとうございます!やらせてもらいます!」



私は、うんうん頷きながら「どうか雇って、お願い、断らないで。」と目で訴えた。



ミーナの真剣な、やる気溢れる答えを、マイルズは少し意外に感じ(いい意味で)言った通り、任せることにした。



たまにいる、騎士目当てで来て、仕事はやる気のない子。そんな子じゃないみたいだな、ミーナは。

まぁ3割できればいいほうだろう?山盛りの野菜をみてマイルズはひとりごちた。



試されている。けれど、私には家で散々やらされた日々がある。

(……できる。自立のための試練なのだ。絶対にやってみせる)



並々ならぬ決意を秘め、私は黙々と人参やジャガイモの皮を剥くいた。手際よく、無駄なく。厨房の人たちがこっそり様子を見ているのを感じるけれど、集中して。



やがてマイルズさんが一言。



「……悪くないな。いや、いい。お前、やってきた口だな?…となるとあとは」



ほっとして脱力した、その瞬間だった。



「――この子か?」



不意に低く響く声。振り返ると、厨房の出入口に、背の高い男が立っていた。黒髪に日焼けした肌、鋭い眼光。目元から頬にかけてある傷が、印象的で、イケメンに拍車をかけている。無骨な雰囲気と、騎士団の紋章入りの黒衣。



(強面ワイルド系イケメン?……!)



マイルズさんが「団長、ちょうど今試し作業が終わったところで……」



「面接の続きは俺がする。来い」



(…あーーー!リサさんが言ってた...ラスボス来たーー!)



厨房の空気がピンと張り詰める中、私は彼に導かれるまま別室へと向かった。




―――――――――――――――


〈面接室にて〉


強面の団長は腕を組んでミーナを見下ろすように見つめる。だがその視線は、妙に真剣で――どこか、何かを測るよう。



「俺はこの中央騎士団の団長、ギルバート・ヴァイスだ。――直接面接するのは、こう見えて理由がある

。厨房とはいえ、中央騎士団の寮――命を預かる場所だ。警戒は怠らない。」



「それに厨房は、外部と繋がりやすい。食材に混ぜられる、毒、薬、伝言……どれも命取りになる。だから、俺が見る」



「……は、はい」



 ギルバートは騎士狙いのご令嬢や、スパイなど変な目的で近づく者をはじくため、あえて威圧的な態度でミーナに接していた。

対してミーナは、「これって、前世でいうとこの圧迫面接的なあれかな?たしか、目を逸らさずに堂々と答えるのが正解だったはず……がんばれ私!」と脳内で現実逃避していた。



「名は、ミーナか…。なぜ住み込みを希望した?」



団長さんから気かれて、ハッと現実に戻る。

「事情があり、実家を出たいのです」



「事情、か。……」



ミーナ「家事全般できますし、誠実に働きます!どうかお願いします!」無意識に両膝に置いた手を握り込んで汗をかいてしまう。(どうかお願い。私の家出計画のために)



ギルバートはしばし観察したあと、

「臆するかと思ったが、ちゃんと目を見て答えるな。厨房は合格と聞いた。……なら、ここでもう一度聞く。働きたいか?」



(やっぱり、わざと圧かけた態度だったんだ)

「はい。ここで働かせてください!」

緊張が解けてほっとしたからか、思ったより大きな声で、食い気味で返事をしてしまった。



「……よし。合格だ。マイルズには伝えておく。明日から来い」

低い声ではっきり聞こえた。そして確かに、団長の口元がわずかに緩んだ気がした。



団長は、扉の外で待っていたセリアさんに声をかけ、寮に入る手続きやこれからについてミーナの世話を頼んで去っていった。



何?団長、強面ワイルドで、気がきくってギャップの塊なんですがーー!?と私は内心突っ込んでしまった。





千と千○の「ここで働かせてください!」を入れたかったんです。(゜∀゜)


セリアさんのお姉さん感をだすため、髪色を濃い紫黒、髪型を片方三つ編みゆるく、に変えましたm(__)m

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