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その獣人騎士、無自覚に私を甘やかしすぎです!  作者: 緋月 いろは
3章 じれじれ期突入

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27/171

27.洗濯場にて

流れ的に、この後に、28筋肉談に変更しました(>人<;)

「……もう。眼福…いや、まったく……」



ライグルさんの部屋で“あの事件”があった後、

ミーナは回収した洗濯物を両腕に抱え、庭先にある洗濯場へと向かっていた。



今日は雲ひとつない快晴。さわやかな風が吹いている。それなのに、まだ顔が少し火照っているのは、きっと……天気のせいだ。



パシャッ、ばしゃっ。



洗濯場には今日も、陽だまりの匂いと水しぶき、そしておしゃべりが満ちている。


 


「お疲れ様です。今日はお世話になります、厨房から来ましたミーナと申します!よろしくお願いします!」



「ミーナちゃん、よろしくね! 早速こっちのシーツお願い~」



「はい、今行きます!」


 

木のタライにシーツを浸け、泡立ちの少ない石鹸でごしごしと洗濯板にこすりつける。

洗濯機なんてあるはずもなく、結構な重労働だ。



それでも、いくつかのタライを囲んで2~3人ずつで洗っていると、自然と井戸端会議が始まる。



「ねぇ聞いた? 第二隊の副隊長さん、今朝も朝帰りだったってよ~。でもなんか、ボロボロだったから……振られたのかも?」


(ん? ジュリオさん……? あ、朝帰りって……)



実際は捕物があった夜勤明けでボロボロだっただけ。でも真相を知る者はいない。ミーナも含めて。

 


「マジ? あんな調子のいいイケメンがボロボロって、それ逆に萌える~」



「私だったら団長派だな~。あの傷、渋くてたまんないっていうか……!」



「でもさ、今一番アツいのって、やっぱあの隊長さんじゃない?」



「えっ、誰?」



「ほら、銀髪で銀の目の……ちょっと影のある感じの……ライグル様!」


 

その名前を聞いた瞬間、ミーナの手がぴたりと止まる。



「ライグル隊長? うーん、美形だけど……ちょっと無表情すぎない?」



「それがさ〜、女の子苦手なのかなーと思ってたのに、最近ちょっと違う感じ? 女の子に廊下で頭撫でられてたって噂よ?」



「えーーっ!? それって恋人!? だから最近、雰囲気が優しくなったのね〜。ね、ミーナちゃん?」


 


「えっ、そ、そうですかね!?」

(そんなに無表情じゃないし……。いつも優しげな感じだし……。ていうか、その“頭撫でてた子”って、私で……?あああ、今さっきの“裸事件”まで思い出したー!!)


 


「ふふん♪」



顔が真っ赤になったミーナを見て、お姉さんたちはニヤニヤ。



「だって、ミーナちゃん、最近よくライグル様と一緒にいるよね?」


 


「そ、そんなこと……ただの偶然ですよっ!」


 


「えぇ〜〜?? なんか怪しい〜! 洗濯する手、止まってたし~!」


 


「ち、違いますって!!」


 


女子たちの笑い声が、パシャパシャと水音にまぎれて広がっていく。

その中でミーナだけは、ひとり胸の奥がざわざわとしていた。


 


ライグルが自分を見るときのあの目は、どこか優しくて……


 


(……なんなの、もう……)


まだ、よくわからない。

でも、自分が“ちょっとだけ特別”なのかもしれない——そんな予感が、胸の奥で小さな鼓動を打っていた。


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