25.何かがおかしい(ジェーン視点)
異常な執着、異母妹です。家業は繊維業のイメージです。
お姉様が出ていってから、何かがおかしい。
あんなに賑やかだった屋敷は静まり返り、私の好きだったドレスもデザートも、どんどん質素になっていく。
カーティス様は、最近では私の顔すらまともに見てくれない。
お母様は、「ミーナがいなくなってからツキが落ちた」とか、「カーティス様が冷たいのはあんたのせいよ」とか、意味のわからないことばかり言う。
お父様は仕事が増えたのか、家に帰ってきても疲れた顔で、私に話しかけてもくれない。
そして今日、怒った職人たちが押しかけてきたらしい。書斎でお父様が怒鳴っていた。
「これじゃ納期に間に合わない」
「契約を見直してもらわないと困る」
「ミーナ様とのお約束はどうなったのですか?」
……は? なんで今さら、あのお姉様の名前が出てくるの?
私は知らなかった。
あの人が、うちの家業のやり取りを全部仕切っていたなんて。
伯爵家の家計も、人脈も、取引先との信頼も——
全部、あのお姉様が握ってたなんて。
……ずるい。気に食わない。
私と同じ歳くらいなのに、偉そうに職人なんかと文通して、当主のような顔して。
あの人がいないだけで、こんなに皆が困るなんて、おかしい。
おかしいに決まってる。
もし——
もし、お姉様がどこにいるかわかって……
私より幸せになってたら——
絶対に、許さない。




