22.ライグルブチ切れる
すみません(T . T)冒頭が途中から消えてました...!!!!再アップしましたm(._.)m
〈ライグルの執務室にて〉
部屋に響くのは、紙を捲る音と、かすかな羽ペンの走る音。
月明かりが差し込む窓辺、ライグルは執務椅子に腰掛け、怒りに震えながら、書類を手繰っていた。
普段はほぼ使わない来客用ソファには、ジュリオが足を組んで椅子にもたれかかりながら、片手で書類をぱらぱらと読み流している。
「……ミーナの実家、かなり深刻だな。継母と異母妹の浪費、当主代理のはずの父親は無能……そして、あのクズ……カーティス」
いつになく怒気を孕んだ声で、ライグルが呟く。
手元にあるのは、密会の証言記録、金の流れ、ミーナが父に代わり当主実務をやっていたこと、継母、異母妹から暴言や虐待、ひいては毒殺未遂の証言だ──
「屋敷の食事に異物混入が複数回」「侍女の口止め」「使用人への買収」……証言も、証拠も、揃っている。
わかってやっている。計画的だ。悪意の塊だ。
静かだった空間が、わずかにきしみ、
ライグルはゆっくりと背もたれから身を起こし、机の上に両手をついた。
書類の端が、指の力でくしゃりと音を立てる。
「……」
「……おい。お前……」
ジュリオが声をかけかけた、その時だった。
ドゴッ!
怒りを堪えきれず、ライグルの拳が机を叩いた。
インクを含んだ羽ペンが飛び、黒い飛沫が床に飛び散る。
無言のままの一撃だった。だが、いつも感情的にならないライグルの目は、炎のように燃え、瞳の色は黄金に変わっていた。
普段は抑えている感情を、爆発させるように…
「……人を……なんだと思ってる」
低く、しぼり出すような声。
「利用して、捨てて、追い詰めて……。ミーナを……どれだけ……」
ジュリオが息を呑んだ。
普段は不器用な男が、ここまで露わに怒る姿を、初めて見たからだ。
「……殺されてたら、どうしてたんだ。
……絶対に許さない…」
その声には、獣のような唸りが混じっていた。
理性のギリギリで踏みとどまっている、静かな殺気が漂う。
ジュリオは椅子から体を起こし、少しだけ口元を引き締めた。だが、止めることはしない。
「……で、どうする?」
問いかけは、軽くも重くもなく。ただ、信じるように投げかけられたものだった。
ライグルは、深く息を吐いた。
怒りを鎮めるように、一度目を閉じ──そして、はっきりと答えた。
「……動く。もう、黙ってはいない」
その言葉に、ジュリオは口角を少しだけ上げた。
「了解。俺は、あんたの副官だ。やるなら、徹底的にいこうぜ」
不敵な笑みを浮かべ、ジュリオはすでに次の段取りを考え始めている。
ライグルは黙って頷いた。
あの夜のミーナの笑顔を思いだし、どんなことをしても「守る」覚悟を決めた夜だった。
こんだけ決めても...まだ付き合ってない、好きと言ってない。先走り系...




