18.寝坊カップル疑惑(ライグル視点)
翌朝――――
今日の寝坊は、ただの偶然だ……
夜勤もあるし、夜寝ないことには慣れているはずが、昨日は狼としてだがミーナの側にいられたこと……
抱きしめてくれたときの暖かさと、いい匂い……
「もう少し、側にいて?」と耳元で言われたときのあの感情……
全てを覚えていたくて、結局あまり眠れないまま朝を迎えてしまった。
いつもなら朝練を終えて、朝食を食べ終えている時間だが……
顔を洗い、支度もそこそこに朝食食べに食堂へ向かうことにする。
昨日、あんなに泣いていたが、ミーナは大丈夫だろうか……
いつもより遅めの朝食をとるため、食堂へ向かう。途中、同じく食堂へ向かうミーナを見つけて俺は声をかけた。
「ミーナ?お、おはよう…」
「だ、たいちょ、、ライグルさん、おはようございます!」
俺から話しかけられたことに、ミーナは驚きつつも笑顔で喋りかけてくれた。優しい……
昨日、あんなに泣いて、落ち込んでいたが、今日はいくぶん顔色がよいように思う。あと後、よく眠れたのだろうか?昨夜、自分の気持ちに気づいてしまったことを思いだし、心拍線が上がってしまう…
「昨日はよく眠れたか?」
「???はい!こちらにお世話になってから、快適な睡眠と食事と。大変ありがたく、一生懸命働かせていただきますね!」
ぅゔっ……
純粋な感謝と笑顔を向けられているのに、俺はまた昨日のぬくもりを思い出して赤面してしまった。
無様な顔は見せれまいと、とっさに下を向くと
「……あれ?ライグルさん、頭……」
「ん?」
頭を上げようとしたとき
「……あれ? 寝癖、立ってますよ」
ちょうど下を向いた頭が、ミーナの前にあったからか、……俺の頭をミーナが撫でた?
――― いや、撫でたというか、側から見れば、髪の毛先ちょっとかすっただけなのだが―――今のライグルには恋愛脳フィルターがかかっていた。
「あ、あぁ、ありがとう」
俺は、髪を手で無理やり抑えながら、どうにか
平静を保ち言葉を口にした。
「!では私、準備があるので、先に食堂に行きますね!また後ほど」
「あ、あぁ」
ミーナは小走りで先に食堂に入っていった。
「おい。」
さっきから、そこにいるのはわかってる……ジュリオ。
バレないように、離れていたのだろうが、匂いですぐわかる。恐らくニヤついてるであろうおまえの顔も…。
「よう、ライグル?寝坊とは珍しいなぁ。あーあ、いつも無駄に整ってる頭がピョーンて笑。……で、昨夜はどこで何してたんスか?なんかみょーに、ミーナちゃんと距離近くないすか?(ニヤニヤ)」
「……(顔が赤くなる)……別に」
遠目で見えなかったが、コイツ赤面してなかったか?確かめるために、冗談まじりで聞いたのに。
「……(あ…まじ?ガチっすか?)」
真顔で固まるコイツを置いて、俺は食堂へ向かう。
そこには、同僚と朝食のまかないを食べるミーナがいた。
自然と、ミーナが視界に入る場所に座り、楽しそうに食べる様子を見て、また胸が暖かくなった。
朝食のピークを過ぎた時間だからか、ミーナに気安く話しかけるヤツがいる....牽制しなければ……
「嫉妬か〜?」
嫉妬している…が、からかいのネタを与えたくない俺は、ジュリオを黙らせた。
――――この後、俺は団長からの事情聴取を受けることになるのだった。――――
すみません!構想メモもアップされてたので消しました!団長はもうすぐ登場します。




