01.婚約破棄は、自由への序章
初投稿です。お手柔らかにお願いします(゜∀゜)汗
PV激増中。拙い作品ですが、読んでくださる方がいることが大変嬉しいです。ありがとうございます。もっとじれじれ、溺愛妄想を詰め込みます!
浮気現場目撃からの婚約破棄
「…愛してるよ、ジェーン」
間違いない。わずかな扉の隙間から漏れ聞こえる声、そのクズな背中。私の婚約者カーティスは、私ではない女に愛を囁いている。
甘ったるい雰囲気の中、2人の顔が近づき唇が重なった瞬間…
私は息を呑み、わずかに手が扉に当たってしまった。扉の方を向いていた女は、私に気付き勝ち誇った目で、侮蔑に満ちた表情で口角を上げた。
下を向き震える私を見た女=異母妹は、私が打ちひしがれたと喜び満足したのだろう。
しかし、こちとら前世は28歳社畜限界OL、今世あわせればアラフォーのミーナ・エルフォード17歳。
そんな私は、心の中で、「よっしゃああ!婚約破棄きたーーー!!」とガッツポーズ。
表情は打ちひしがれた令嬢を演じながら、内心では祝杯をあげていた。
浮気癖あり、不真面目で爵位しかいいところがない。クズ男カーティスと離れられる喜びに打ち震え、ジェーンに喜びを悟られないよう笑顔を噛み殺していたのだ。
それからの展開は早かった。
「君のような堅物とは婚約破棄させてくれ」
「お前のことは愛せない。優しく癒してくれる、美しいジェーンを愛してしまったんだ」
とカーティスは婚約破棄を言い渡し、異母妹を溺愛する父と継母はもちろん同意。カーティスの婚約者はジェーンになった。
私は、心の中で「ハイハイ」と受け流し、クズからの解放を喜んだ。
カーティスの浮気癖や不真面目、素行の悪さを補うため、格下で優秀なミーナの婿養子に入ることでなんとかしようとした現公爵のたっての願いで成立した婚約だったのに、いいのだろうか。
伯爵家当主だった母の血を引く、私が次期当主で、父は当主代理だったはず。母が病死するまでは、私が伯爵家を継ぐため、領主教育や教養、マナーなどを学ばせてもらえた。
幼児にもかかわらず、子どもらしからぬ私の言動や会話に母は察するところがあり、私が前世の記憶持ちであることに気づいていた。
この世界では、まれに前世の記憶を持って生まれる者がいる。
有用な知識を持っていれば、国が囲い込む対象になり、報告義務すら生じるのだ。
――社畜ならぬ「国畜」。自由な生き方とは真逆の道。
だからこそ、私が前世の記憶を持つことは、母と私だけの秘密だった。
そんなこんなで、カーティスは私の婿養子予定だったわけで、伯爵当主にはなりえないのだ。
現実現公爵様がブチギレて、カーティスは見限られ勘当。親としての温情の手切金を与えられ平民となるが、あの性格では苦労する未来しか見えないが、だれも気づいていない。脳内お花畑で、自分達に都合のいい事実しか受け入れられないのだろう。
きっと婚約破棄された傷物令嬢の私をを養うほどの慈愛を、家族は持ち合わせてない。
突然追い出される前に、自立できるよう職、住まいを探さなければ!
この決意がジェーンにバレたら絶対に妨害してくる。
この家を追い出されるのは時間の問題。
ならば――
自分の足で立ち、自分の人生を選ぶしかない。
幸い、元社畜には前世とお母様仕込みの根性がある!
私はドキドキが止まりません。冷や汗