第六話 – 「セカンドコードの訓練」
第六話 – 「セカンドコードの訓練」
井上はレジスタンスのアジトで目を覚ました。目の前には、セカンドコードを操ることができるレジスタンスのメンバーが集まっており、彼はついにその力を学ばなくてはならないと覚悟を決めていた。だが、心の中には依然として抵抗感が残っていた。セカンドコードの力に頼りたくないという思いが強く、どこかでそれに縛られたくないという気持ちがあった。
「井上、お前がセカンドコードを使うべきだと信じている者たちは少なくない。しかし、君はどうしてもその力を使いたくないんだろう?」レジスタンスのリーダー、ジョンが静かに語りかけてきた。
井上は無言でうなずいた。セカンドコードは確かに強力だ。しかし、それを使えば自分がその力に縛られてしまうという恐れがあった。言葉が支配する世界から解放されるために、どうしてもその力に頼りたくなかった。
「だが、お前も分かっているはずだ。今、この世界ではセカンドコードを使える者こそが唯一、フォネティックコード警察に立ち向かえる力を持っている。俺たちレジスタンスも、セカンドコードなしでは警察に対抗する術がない。お前にはその力があるんだ。」ジョンは優しく、しかし決然とした目で井上を見つめた。
井上はしばらく黙って考えた後、口を開いた。「でも、セカンドコードを使ったら、結局また言葉に縛られてしまうじゃないか。僕たちは、その縛りから解放されるために戦っているんだろ?」
ジョンは少しの間黙った後、ゆっくりと答えた。「もちろんだ。しかし、今はその縛りを打破するために、まずセカンドコードを使うしかない。最終的には、言葉に縛られない自由な世界を作るために戦うんだ。それに、お前がセカンドコードを使うことで、警察に対抗する力が強くなる。そして、その力を使いこなせば、俺たちの戦いも有利になる。」
井上は無言でその言葉を噛みしめた。確かに、警察に立ち向かうためには強力な力が必要だ。それを得るためには、セカンドコードを使うしかないのか。しかし、それでもどうしても心の中で違和感が拭えなかった。
「それでは、セカンドコードの訓練を始めるか。」ジョンが立ち上がり、井上に向かって手を差し伸べた。
井上は深呼吸をして、ジョンの手を取った。「分かった。でも、これはあくまで戦うためだ。使いこなして、警察を倒すために。」
ジョンは頷き、井上にセカンドコードを使うための基本的な使い方を教え始めた。その力を使うためには、まずその音を正確に発音し、強い意志を込めることが重要だった。井上は最初、うまく発音できなかったが、何度も繰り返し練習するうちに、次第にその力を感じ始めることができた。
「アメリカ、ブラジル、カナダ。」井上が発音を試みると、微細な震えを感じながらも、セカンドコードの力がその言葉に宿る感覚がした。
「よし、その調子だ。」ジョンは井上の成長を見守りながら、さらに指導を続けた。「お前にはこの力を使いこなすだけの可能性がある。だが、気をつけろ。セカンドコードを使うことには常にリスクが伴う。俺たちが望む自由な世界を作るためには、最終的にはこの力を超えた力を見つけなければならない。」
井上はその言葉を胸に刻みながら、セカンドコードの使い方を学び続けた。しかし、心の中でその力に頼りたくないという思いが消えることはなかった。だが、今は戦うためにはこれしかないという現実を受け入れるしかなかった。
訓練が終わり、井上は疲れた体を休めながら思った。「僕がセカンドコードを使うことは、きっと最終的にこの世界を変えるための一歩なんだろう。でも、それだけで解放されるわけではない。もっと別の方法がきっとあるはずだ。」
その思いを胸に、井上は次の戦いに備えることを決意した。