第20話②シーズン第2戦
試合当日開始前、ロッカールームでハドルが組まれていた。
ハドルの中心には田村が立っていた。
「今まで試合が始まると、
みんなを心から信じて送り出すことしか
出来なかった。
正直歯痒く辛く長い日々だった。
でも今日は違う。
みんなだけじゃなく、自分を信じて試合に挑むことができる。
幸せな気持ちです。
みんなに一つだけワガママを言わせて欲しい。
今日は絶対に勝って試合を終わらせてくれ!」
田村が叫んだ声に対し田﨑が叫び返した。
「当たり前だろ!田村のファーストキャップを敗戦なんかに絶対にしない!」
田﨑の声に選手だけではなく、運営スタッフまでも雄叫びをあげた。
「勝つぞ!」「勝つぞ!!!」
気合いがみなぎったところで主将の浜田が声をあげた。
「いよいよ第2戦だ。俺は田村を絶対に勝たせる。そして全員を勝たせる。
みんな同じ気持ちだよな。
俺たちの全員ラグビーで勝つぞー!
「WE AREー!」」
田﨑が「BLUE!」
全員で、「WINGS!!!」
その掛け声は敵チームのロッカールームまで響いていた。
今日もファンの花道がグランドに向かう選手達に大きな声援を送った。
【田村選手 1stキャップおめでとう!】
と書かれたパネルを持ち花道に並んでいるファンもいた。
田村は観客席に一礼をし、
次に花道に並ぶファンに一礼をしてから颯爽とファンの花道を通り抜けた。