第18話⑦シーズン開幕戦
春山を見送った田﨑は松戸や開発部隊を探した。
田﨑は片付けをしている松戸を見つけて駆け寄った。
「今日はありがとう」
「田﨑さん!お疲れ様です。
開幕戦の勝利おめでとうございます」
笑顔で松戸が右手を差し出したので、田﨑も右手を出して握手をした。
「VRの評判も良かったみたいだね」
「そうなんです。たくさんの方に並んでいただいて。ファンの方もみんな感動してくれたみたいです!」
「さっき話したファンの人も興奮して話してくれたよ。すごかったって。
大興奮だったよ。
本当にありがとう」
「私たちにもいいお話もあったんですよ。
春山部長のお客様にライブハウスをいくつか経営されている方がいらっしゃって体験されて、この技術を活用したいことがあるっておっしゃってくれたんです。
それ以外にも詳しくお話を聞きたいという方も何名かいらっしゃいました!」
「それはすごいね!おめでとう!
うちの技術を活用して他業界にも進出したいって松戸さんの企画の第一歩だね」
「はい。もうアポも取っているので、私たちと営業の方で行ってきます。
頑張りますよ!」
ガッツポーズを取りながら笑顔で話す松戸を田﨑は頼もしく感じた。
「あっ。VR体験でラグビー少し楽しみになった。って言う会社の人もたくさんいたんですから、社内営業もしっかりしてくださいね。
田崎さんもちゃんと応援されるチーム作りをしてくださいね」
新入社員にピシッと言われ黙る今日の試合のヒーローの様子を開発メンバーが笑いながら見ていた。
「今日は試合を全く見られなかったので、また試合を観にきますね」
「次は皆さんを自分が招待しますから、絶対に来て下さいね」
「楽しみにしています。
では今日はお邪魔しました!
ありがとうございました。」
松戸は深々と頭を下げた。
松戸の中ではチームの応援だけではなく、試合という場所を借りて、自分たちの技術の価値を高める目的をしっかりと持っていることに田﨑は敬意を感じた。
「こちらこそありがとうございました」
田﨑も頭を下げて松戸たちを見送った。