第18話⑤シーズン開幕戦
キックオフの笛とともに、両チームの選手が走り出した。
試合の立ち上がりは、ブルーウイングスのハイパントを相手チームがノックオンのペナルティ。
その際のスクラムで、相手チームがコラプシングという更なる反則を重ねた。
そして、そこで田﨑がペナルティゴールを決め開始早々に得点を得た。
まだ硬さが残るブルーウイングスにとっては、良い試合の入り方となった。
それでも、相手チームはブルーウイングス陣で得たペナルティキックを三度もペナルティゴールを狙わず、ラインアウトからすぐに攻め、モールで粘り勝ちそこから逆転のトライをあっさりと奪った。コンバージョンキックも手堅く決めて、
3対7となった。
その後、前半20分にブルーウイングスのチャンスが再びやってきた。
田﨑のキックパスをセンター北村がキャッチし、
秋野に繋ぎトライ。
コンバージョンキックも決めて10対7と再びブルーウイングスが逆転した。
このままシーソーゲームが続くかと思ったが、全員ラグビーの決定力が炸裂し、田﨑と若色の連続トライで22対7と相手チームを引き離した。
相手チームも必死にトライを取り返し、22対14で前半を終えた。
後半は膠着状態が長く続いたが、集中力を途切れさせなかなったブルーウイングスは相手チームからこぼれたボールをすかさず拾い北村がトライをして勝負を決めた。
ブルーウイングス最終的には36対14という圧勝で初戦を終えた。
粘り強い防御や攻撃、個々の的確な判断とスキルが光った試合だった。
吉川が推奨した全員ラグビーが発揮された。
この試合のMVPに選ばれた田﨑はインタビューを受けながら観客席を夢のような気持ちで見上げていた。
観客席の真ん中はチケット代が高く空席が目立つことには慣れていたが、かとうを中心としたファン達が選手たちとお揃いのユニフォームを着て席を埋めていた。
一画は村西が企画したイベントの社内応援団がお揃いのTシャツを着て立ち上がって拍手と歓声を送ってくれていた。
また一画にはスーツ姿で控え目だが春山が配布したタオルを掲げて拍手を送ってくれている営業と取引先で形成された応援団がいた。
こんなにもきれいにブルーに染まっている観客席を田﨑は見たことがなかった。
綺麗だな。
思わず呟いていた。