第18話②シーズン開幕
違うブースでは人事部の村西が準備を進めていた。
チームを応援するため総務部と連携して社内応援イベントを企画していた。
会社でまとめてチケットを購入し福利厚生費を利用し、チケットを安くで社員に提供した。さらにお揃いの応援ティシャツを無料で配布した。
会社をあげてブルーウイングスを応援する風土を醸成したかったのだ。
従業員の士気を高め、一体感を作り上げる効果も人事として期待していた。
チームビルディング効果や会社へのエンゲージメント向上につながることを村西は訴えた。
しかし現状中村建設の社員の多くは3部リーグに降格したブルーウイングスへの興味が薄く、村西たちのチケット販売は苦戦した。
そこで社内報でブルーウイングスの特集を組み、所属部署での選手たちの仕事中の様子や、練習風景、プライベートの過ごし方などを紹介した。
チームを身近に感じてもらうことにより、身近な同僚を応援したいという気持ちを高めた。
村西達の頑張りにより初戦は社員や家族などで500名の中村建設の大応援団が結成されていた。
村西は大応援団を迎える準備を忙しそうに進めていた。
村西の横では桜庭の上司でもある官庁営業部の春山部長が慌ただしく準備を進めていた。
昔は取引先をラグビーに招待し、一緒に観戦しながら交流を深める営業手法があったか、ブルーウイングスの弱体化によりその方法が廃れていた。
ただ春山はこの営業手法を復活させた。
部下である桜庭や、交流がある田﨑、同期の吉川のためという気持ちがあることは否めないが、春山自身にブルーウイングスというコストに見合った営業上のメリットを感じていた。
すなわち広告・宣伝の手段として活用できると考えていた。
官庁営業部のみではなく、全営業に声をかけて顧客の招待を促した。
チームの弱体化により観戦営業が意味がない。とはっきり言う他部長のもとに春山は足を運び、チームの現状を伝えた。
またチームがもたらすメリットについても丁寧に説明をした。
招待した取引先の方にお配りする、ビール券やおつまみ、お菓子そして、チームロゴが入ったタオルを確認していた。
お子様に配る、ブルーウイングスのキャラクターグッズもチームから提供を受け準備をしていた。
春山の営業チームにも300名近いお客様が来場する予定になっていた。
それぞれの目的はあったがブルーウイングスを盛り上げたい。という共通の意思のもと中村建設の松戸、村西、春山という田﨑が関わった3人の社員を中心に準備が進められた。