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第1話⑥田﨑達也
ポスターを貼り終えて自分の席に戻ると、
田﨑は村西に声をかけた。
「さっき春山部長と話したんですけど、
村西さんに言われたこと少しだけ分かりました。
各部署にわざわざ足を運ぶのは、
今も引退後も味方になってくれる人を見つけるためですか」
「村西は少し成長したね。
引退後だけじゃないけどね」
と笑いながら答えた。
「今から松戸さんと話をしてみます」
と少しだけ笑顔を見せて部屋を後にした。
まだ仕事の意味もあまり分からないけど、
ただ中村建設という企業の中で大きな成果を今の自分にはあげられないということは分かった。
でも大きな成果をあげるために皆が小さな自分達の仕事をして、先に繋げなければいけないことも少しは分かるようになった。
仕事ってラグビーと同じかも知れない。
仲間の誰かがトライを取るために、先に先に進める。
そしてラグビーではまだやらなきゃいけないこと、やりたいことがたくさんある。
まずは仕事もラグビーも全力で取り組んでみようかな。と少しだけ前を向けた気がした。
足取りは軽やかに松戸の元へ行った。