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第16話②千葉県富津合宿

食事の前に大宴会場に集まれられたメンバーは

前のモニターに注目していた。


演台には新しくチームレフリーになった髙橋が立っていた。

もともと髙橋はC級レフリーの資格を持っていたが短期間でB級レフリーを取得していた。


今まではルール改正の際は個人で調べて勉強するようにしていたが、それでは個人個人の理解に幅があり試合では通用しないことが多かった。髙橋がチームレフリーになったことにより、個人に頼らずチームとして理解を深めることができるようになった。


髙橋は壇上に立ち、

動画を用いながら、改正されたポイントとペナルティの判断基準を丁寧に伝えた。


また選手達のケガを防ぐためにも必要だということを繰り返し伝えている髙橋の言葉は重みがあった。


言葉だけで伝わりにくいことが多いので、

髙橋は自分で実際に動画を様々な角度から撮影して、それを自分で編集していた。


練習後の疲労から集中力が途切れた選手達も、

切り替わる画面や、音楽、キャプションなどで編集された動画には見入っていた。


髙橋のレクチャーの後は恒例の筆記試験を実施した際も、全選手が80パーセント以上の正答率を出していたため、監督やコーチ陣も驚きを隠せなかった。

ちなみに過去実施した様々な筆記試験は平均点は50パーセント強の低いレベルなので今回の結果は快挙だった。


髙橋の新たな才能が開花した瞬間だった。


田﨑がレクチャーの後、髙橋に近づきそっと手紙を手渡した。


封筒には、「亨お兄ちゃんへ 片桐徹より」と書かれていた。



亨お兄ちゃんへ


亨お兄ちゃんが退院してからすごく寂しくなったけど、お兄ちゃんからもらったラグビーボールで毎日、悟や優希、康太と一緒に練習を続けているよ。

大切なボールをくれてありがとう。

僕たちも大切に使っていくね。


忙しいのに退院してからも色々な人たちと病院に来てくれてありがとう。

お兄ちゃん達が来てくれることを楽しみに、僕は痛い検査やリハビリを頑張っているよ。

悟は嫌いな注射、優希は苦いお薬、康太は怖いけど手術を頑張ったよ。

みんな元気になってお兄ちゃんたちを見に行くって目標ができたから、頑張ることができているよ。


僕はもうすぐ退院できることが決まったよ。

でも実は病院じゃない場所で車椅子での生活は不安がたくさんなんだ。でもきっと楽しいこともたくさんあると思って退院を楽しみにするね。


まずはお兄ちゃんのチームの試合を見に行くことが楽しみ。

お兄ちゃんの応援に行くこと約束だよ。


ありがとう。           徹より



徹たちに自分が励まされていたと感じていたのに、同じように感じてくれていたこと、辛い入院生活の心の拠り所になれていたこと、自分たちでも誰かのヒーローになれたこと、そして子供たちの強さに髙橋は涙が溢れた。

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