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第15話②髙橋亨

上司の理解や産業医のサポートもあり、

翌日には大学病院の診察を受けることができた。


髙橋は病院に到着した途端に慌ただしく検査室に案内された。

そのまま頭部のCTとMRIの検査が行われ気がつけば午後の2時を回っていた。


さすがに空腹を感じて診察までの間に、病院の売店で昆布のおにぎりとクリームパンを買って外のベンチで食べていると、子供たちが楽しそうにボール遊びをしていた。


子供たちを眺めている髙橋の近くに気がつけば車椅子に乗った男の子がいた。


髙橋の視線に気がついた男の子は車椅子から会釈をした。

髙橋も軽く手を上げて男の子に話しかけた。


「この病院に入院しているの」


「うん」

無邪気な笑顔で男の子は答えた。


会話を続けるために髙橋は聞いた。

「名前は?」


「徹だよ。片桐徹」


「同じ名前だな。俺も亨っていう名前なんだ。

徹は長く入院しているの?」


「うん。もう半年位入院してるよ。

入院前はお友達とあんな風に公園でたくさん遊んでいたんだ」

寂しそうにボール遊びをしている子供たちの方を見た。


「お兄ちゃんもさ、ラグビーやってるんだよ」


徹は目を輝かせて

「ワールドカップをテレビで見たことあるよ。

すごく格好良かった。

ルールはよく分からなかったけど」

と笑顔で話した。


「今度ルール教えてあげるよ」

と髙橋は答えたとき、


「徹くん!ここにいたのね」

遠くから看護師が手を振りながら駆け寄ってきた。


看護師を見ながら髙橋は聞いた。

「徹、今から病室に帰るのか?」


「うん。そろそろ診察だから」


「じゃあお兄ちゃんが送ってあげるよ。

一緒に行こう!」

髙橋が車椅子を押しながら、徹のたくさんの質問に答えていた。


話しながら徹の病室に着くと

徹は

「とおるお兄ちゃんありがとう!

またね!」

と変わらない無邪気な笑顔で手をブンブン振った。


小児病棟には徹より小さな子供たちもたくさんいた。


近くに父兄がいない子がほとんどだが、ベッドの上で大人しく本を読んでいたり、お絵描きをしていたりと静かに過ごしていた。


徹を迎えに来た看護師さんに挨拶をして、髙橋は自分の診察に向かった。


診察室の前で5分ほど待っていると髙橋の名前が呼ばれた。

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