第14話練習試合横浜ウォーリアーズ戦
久しぶりの試合にチームの士気は自然と高まるが、横浜ウォーリアーズはブルーウイングスにとって因縁の相手だった。
4月22日 0対59という歴史的敗退によりラグビーリーグ3部への降格が決まった時の相手が横浜ウォーリアーズだったが、それ以前からも、度々衝突していた。
ホームエリアが近いことから過去は交流戦を何度も行ってきた。
お互い仕事をしながらのチーム運営なので、戦歴は華々しくはなかったが、お互いに高め合っていたいいライバル同士だった。
しかし、ウォーリアーズが3年前急に選手のプロ化をはかり、選手を社業とは完全に切り離した。外国人選手の積極的な招聘などで急激な強化をはかったのだった。
ブルーウイングスとは完全に袂を分かつことになった。
その結果、年に何回も行われていた練習試合は年に1回に減り、合同練習や合同合宿はなくなった。
ウォーリアーズは徐々に力を付けていき、
ブルーウイングスが全敗で3部リーグに降格が決まった日、全勝で1部リーグへ昇進を決めていた。
ブルーウイングスボールでキックオフを迎えると、先制は前半10分。
キックカウンターから田﨑が一人持ち込み、トライを決めた。
前半25分にもマイボールラインアウトから副キャプテンの髙橋が抜けると、最後はフォローに追いついたスクラムハーフ浜田が確実にトライ。
田﨑のコンバージョンゴールも成功し、ブルーウイングスが12点をリードした。
そのまま必死にリードを守り切り、12点差のまま前半を折り返した。
後半もブルーウイングスのトライから始まった。
田﨑がインターセプトすると、右サイドを駆け上がった。ラックから浜田がボールをうまく捌きバックスメンバーの間をボールがテンポよく渡り歩いた。
最後は髙橋が飛び込み得点を重ねた。
飛び込む直前にタックルを受け、頭を打った髙橋は、脳震盪検査を受けそのままグランドを後にしたが、試合はブルーウイングスのペースだった。
その後ウォーリアーズに2トライ取られた。
逆転を狙い一丸となって攻撃をしかけてくるウォーリアーズに対し、ゴールラインを背負ったディフェンスで守り抜くとフッカーの川本を中心に雄叫びを上げたことにより、選手の士気が高まり更なる勢いを得た。
ブルーウイングスはディフェンスで前に出れば、ウォーリアーズはたまらずボールをこぼした。
すかさずボールを拾い上げたロックの若林はそのまま走り抜けトドメのトライを決めた。
結果、24対10でブルーウイングスは勝利した。
オフシーズンでウォーリアーズの外国人の主要選手や日本代表候補の選手は不在とはいえ、実に数年ぶりの勝利だった。
新生吉川バックスチームも上手く機能していることを印象付けた。
シーズン開幕にむけて勢いをつけた大きな1勝だった。