第12話③松戸瑞江
VR撮影当日、田﨑は待ち遠しい気持ちでブルーウイングスのホームスタジアムにやってきた。
今日はブルーウイングスの選手の紅白戦の様子を10代以上のカメラで撮影する。
観客席も撮影するためたくさんの人が座ってもらえるように、メンバーみんなで応援を呼びかけた。
観客席には
かとうのラジオでの必死の呼びかけや、選手がSNSで呼びかけた結果、降格が決まった試合の観客席よりは空席が目立たなかったが、満席と言うには程遠かった。
無料招待でもこれほど来てもらえないのかと、チームとして集客の弱さが露呈してしまった。
ファンサービスを押し進めていた田﨑はショックを感じていた。
メジャースポーツではない、まして上位リーグでもない自分たちの現実として今のチームの注目度はこの程度だと受け入れるしかなかった。
そう落ち込み続けることは現在応援してくれる人たちに失礼になると考え、田﨑は少しでも試合を見てくれる人に感動してもらえる試合をしようと、気持ちを切り替え試合前の撮影の説明を聞いていた。
試合前のシーンを撮り終えた選手達は試合の準備のため一旦控室に戻った。
紅白戦とは言え、新生バックスチームになり初めての試合でもあり、リーグ戦に向けてレギュラー争いは始まっているので選手達は気合いが入っている。
2つの部屋から
「WE ARE!」
「BLUE!」
「WINGS!!!」
掛け声が聞こえ30人の選手たちがグランドに散らばった。