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第12話①松戸瑞江

田﨑がいつものように仕事を終えて練習に行くと、見慣れない人がクラブハウスにいた。


「田﨑さん!」

田﨑に気がついた松戸が笑顔で手を振っている。


「久しぶり」

田﨑も片手を上げて松戸に近づいた。


「今日はどうしたの?」


「私、、、お仕事を任せてもらえたんです!」

入社式の時に田﨑の記憶に残る意思の強そうな眼が田﨑を真っ直ぐ見ていた。


田﨑は力強さが戻った松戸の眼を見て安心した。


「今日は打ち合わせにお邪魔しました。

頑張ってきますね。

田﨑さんもこれから練習ですよね。頑張ってください」

バタバタとクラブハウスに松戸は駆け足で入って行った。


松戸が何をしに来たかは分からないままだったが、安心して田﨑もクラブハウスに向かった。


練習を終えて帰ろうとした田﨑をチーム広報の高木が声をかけた。


「今から松戸さんと割烹東に行くけど、田﨑も行かない?松戸さんと知り合いなんだろ?」


「分かりました。急いで片付けますね」


松戸、高木やチームスタッフ何名かと田﨑は割烹東に向かった。


東で大将の隠れおすすめのローストビーフをつまみながら、

高木はしきりに

「松戸さんはすごいよ。新入社員ですごいよ」

と言う。チームスタッフも感心しているようだ。


田﨑も気になり

「今日は何の打ち合わせだったんですか」

と聞いた。


「会社の物と物をくっつけてすごいことをする話だ」



「高木さん全く意味が分からないですよ。

松戸さん教えてよ」

田﨑は苦笑いしながら松戸に助けを求めた。


「経営企画で会社のプレゼンス向上の方法を長く検討していたんですよ。

当社のVR技術をもっと売り出したら、建設業界だけじゃなく様々な業界で存在感を高められるんじゃないかって考えて提案してみたんです」


「VRって何?」


「Virtual Realityバーチャルリアリティ」の略なんです。 人工的に作られた仮想空間を現実のように体験できる技術なんです。

遊園地とかで大きなゴーグルみたいなのをかけて、恐竜とかに追いかけられたことありませんか?」


「ある!見る場所を変えたら、見える物も変わるのでしょ」


「それです。当社高いレベルのVR技術を持っていることが分かったのですが、今は施工中のビルの内覧にしか活用していたいみたいで、それじゃ勿体ないので新しい活用法としてスポーツやエンターメント業界に売り出したくて、なので今日は協力のお願いに来たんです」


「すごそうだけど、例えばラグビーでは何ができるの」


「今は、ラグビーの試合をしている中に自分もいられるんです!

例えば、スクラムの真ん中に立っていたり、走ってくる選手とぶつかりそうになったり迫力満点の体験ができます」


「それ別にバーチャルじゃなくてもいつもリアルで体験してるけど」


水を差す田﨑を軽く睨みながら、松戸は話を続けた。

「技術の方と今話を進めていますけど、ハンドコントローラーを持つことにより、トライを決めた選手とハイタッチができたり、パスをもらえたり

、走ったり自分も参加できるようにする予定です」


「それはすごい。

高木さんブルーウイングスのファンの人に体験してもらいたいですね」


「作ってもらった後はイベントとかで使わせてもらう予定だよ」


ちゃっかりと高木は使用許可を取っていた。


「当社の技術とラグビー部で新しい扉が開くといいなって思います。それはラグビー部にとっても良いものになればいいなって考えています。

撮影は後日お伺いしますのでよろしくお願いします」

松戸は頭を下げた。

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