第3話②秋野太
お昼時間に田﨑はコンビニで買ったコーヒーを飲みながらベンチに座り秋野のことを考えていた。
最近田﨑がはまっているコーヒーだった。
田﨑の前をランチ帰りの村西が通りかかった。
村西は
「また、何か悩んでいるの?」
と声をかけてきた。
田﨑は昨日のミーティングの話をした。
地元のイベントに参加して、地元のファンを増やそうと提案したこと。
子供がいる先輩がラグビー以外はしない。と言われたこと。
その先輩は練習や試合で家にいられないから家族に気を遣っている可能性があることなどを説明した。
村西は
「家庭のことだと仕方ないね」
と言った。
田﨑はいつの間にか村西からヒントをもらい前に進んできたから、今回も何かヒントをもらえると考えていたので、村西の返事に突き放されたようでショックを受けていた。
「ちなみにその方はどこの所属なの?」
村西は聞いた。
「第二資材調達部だったと思います」
田﨑は答えた。
田﨑の返事を聞いて、村西の顔が引き締まった。
「家庭のことは仕方ないけど、人事ができることがあるかもね」
と村西は言った。
意味が分からないという顔の田﨑に、
「社内報を配るときに資材調達部で何か気がついたことがないかな?」
と、村西は質問をしてきた。
田﨑はしばらく考えて
「あっ。配る部数が最近減ってます!」
田﨑はそう言うと同時に立ち上がって、歩き出した。
「どこ行くの?」
という村西の声を置いて、
田﨑は資材調達部に向かっていた。