第25話⑥入れ替え戦終了
田村は両親と話していた。
両親は割烹東の大将の話を聞いて、後悔しないように選手を続ける道を田村が選んだことを知っているから大将に会いたがっていた。
田村は田﨑と話している大将を見つけ、両親を紹介した。
「始めまして。田村拓人の母です。
いつも食事面でお世話になっているようでありがとうございます。」
急にお礼を言われ戸惑いながら大将は
いえ。と答えながら、
「今日も拓人は大活躍でしたね。
良い意味でワガママになれたことで、自分を信じてプレイができるようになりましたね」
大将は田村を褒めた。
「私は試合に出られなくても、拓人が好きなラグビーを続けてくれるだけで良かったつもりでしたが、やっぱり努力が花開くことをどこかで期待してしまっていました。
でも、何もできずにただ応援することしかできませんでした。大将と話をさせていただいてから殻を破ったみたいで拓人は大きく変わりました。
本当にありがとうございました」
頭を深々と下げる拓人の母に大将は恐縮しながら言った。
「拓人の直向きに続けた結果です。
きっかけはあったかも知れませんが、活躍を手繰り寄せた主役は拓人ですから、これからも1プレイ1プレイを目に焼き付けてあげて下さい。
食事面は任せてください!」
強面の大将が人懐っこい笑顔を見せて拓人の背中を叩いた手を拓人は取り力強く握手をかわした。
田村は両親とともにチーム残留に丸を付けた。