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第25話⑤入れ替え戦終了

川本はあるシワひとつないきれいなポロシャツを着た男性と話をしていた。

引き締まった体に日焼けした顔で50歳を過ぎているようだが若く見えた。


「今日までありがとうございました。

この試合に出られてしっかり自分のプレイができたので今シーズンで引退しようと考えています」


オーバートレーニング症候群により、休養を余儀なくされ、休養から試合に復帰するまで川本を支えた男性だった。

休養期間にたまたま見に行った中学生ラグビーの試合で出会い、世間話をするなかで同じ経験をした男性と交流が深まりサポートをしてもらっていた。


「胸を張ってグランドを去ることができるなら、それは全てやりきった証だから。

今の川本さんなら胸を張ってグランドを去ることができるな。

長い選手生活お疲れ様でした」


「はい。

休業前では悔いが残り、来シーズンも残留し、また自分を苦しめ、チームに迷惑をかけていたと思います。

けど、今は一切の後悔はありません。

支えて下さったこと心から感謝いたします」


川本が頭を下げたとき、背後から声がした。


「土屋、、、土屋なのか、、、」


振り返ると吉川が既に涙ぐんだ目で立っていた。

笑顔で土屋は答えた。


「吉川!久しぶりだな。

試合見させてもらったよ。いいチームだな。

お前の現役時代を思い出したよ」


「土屋がチームを去ってからずっと探していた。

謝りたくて」


「謝ることなんて何もないよ。

俺が甘えることが下手過ぎただけだよ。

偶然、川本さんからブルーウイングスや吉川の話を聞いて、吉川が俺のことを引きずっていることがよく分かったよ。

悪かったな。長い間苦しめて」


土屋の言葉を聞き、吉川は涙が止まらなくなり、そのまま話した。


「川本から話を聞いて、土屋じゃないかと思っていたけど、本当に土屋とは、、、

会えて良かった、、、

川本のこと本当にありがとう」


土屋は現役時代のように吉川と肩を組み、

「また俺が教えている中学生ラグビーチームに教えに来てくれよ。

中学生も真っ直ぐでやりがいがあるぞ」


「ああ、、、絶対行くからな」


土屋と吉川、川本は力強く握手をかわした。


その日、吉川はチーム残留に丸を付け、川本は引退に丸を付けた。

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