第24話⑨入れ替え戦
同点のまま試合は続いた。
グランドに立つ田﨑はまさに心臓が口から飛び出しそな緊張感に包まれながらも、頭は冴え渡っていた。
相手の息づかいを感じ取ることにより、
思うように相手の動きが分かった。
田﨑がBlack Raptorの攻撃を予想し食い止めていた。
同点のまま試合終了の知らせがグランドに響き渡ったが、誰一人集中力を切らさなかった。
攻め込むブルーウイングスだが、ここで痛恨のペナルティを受けてしまう。
ところが、試合再開のBlack Raptorが、ボールをまっすぐ投げ入れない「ノットストレート」のペナルティーを受けたため、また攻撃権はブルーウイングスに戻ってきた。
Black Raptorはブルーウイングスのモールを警戒し過ぎたため、ボールを誰が見てもBlack Raptor側に投げてしまった。
泣いても笑ってもこれが最後のチャンスだと、この巡ってきたチャンスを逃さないよう全員が神経を研ぎ澄ました。
観客席もスポーツのスタジアムには珍しく、異様な静けさを保っていた。
スクラムからキャプテンの浜田がボールを左へさばいた、それを若色がサイド攻撃を仕掛け敵陣に進んだ。
即座に倒れた若色からボールを浜田は右にさばき、川本が確実にボールを手にした。
3人がかりでディフェンスを仕掛けてくるBlack Raptorに対して正面から突破を試みた。
ドンッ!という鈍い音を立て、Black Raptorの選手が後転している様子を見て、静かだった観客席がどよめいた。
川本へのディフェンスがきつくなりこれ以上前へ進むことが難しくなったとき、最後尾から田﨑がトップスピードで川本の近くに駆けてきた。
川本は田﨑の姿を見つけ安堵を感じた。
田﨑なら、、、
自分にできることとしてBlack Raptorのディフェンスをギリギリまで自分に引き付けた。
そしてタックルを受けながら田﨑に正確なパスをした。
パスを受けながら田﨑は微笑んでいた。
立ち上がった川本が見たものは、
田﨑を先頭にカバーするため選手が横一列に並びまるで青い大きな鳥が羽を広げて真っ直ぐ進んでいるようだった。
そのまま田﨑はインゴールへ。
ブルーウイングスのリーグ昇格が決まった。